2004 Fiscal Year Annual Research Report
JCウイルスAgnoに対するRNAiを用いた進行性多巣性白質脳症の治療法の開発
Project/Area Number |
15300112
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤 洋文 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30292006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 秀宗 国立感染症研究所, 感染病理部, 室長 (70260271)
本山 昇 国立長寿医療センター, 研究所・老年病研究部, 室長 (50277282)
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Keywords | JC virus / siRNA / Agnoprotein(Agno) |
Research Abstract |
進行性多巣性白質脳症(PML)は免疫不全状態を契機として発症する難治性脱髄疾患であり、JCウイルス(JCV)がその原因である。しかしながら現在の段階ではPMLに対する有効な治療法は未だ確立されておらず、治療法の確立は急務である。本研究ではJCVを構成する最も小さな遺伝子であるAgnoを欠損させると、JCV自体の増殖が抑制されるという事実を発見し、論文として報告し、さらに特許を取得した。本研究ではこの基礎的事実に基づき、Agnoに対するRNAi法を用いてJCVの増殖を抑制し、PMLに対する根本的な治療法を確立することを最終的な目的とする。 現在までに我々は(1)Agnoに対するsiRNAを用いた場合、JCVの蛋白、mRNAの発現抑制を生じることをimmunoblotting法、免疫染色法、RT-PCR法を用いて確認した。さらにJCV感染後の赤血球凝集効果を測定し、JCV感染自体が抑制される事も確認した。この結果に関しては特許を2件出願し、また論文としてJ Virol(2004.78:7270)に報告した。さらにこれまでに報告が無かったJCV感染モデルをJCV感染細胞をヌードマウスの脳内に接種することにより作製した。このモデルマウスを用いて、in vitroで効果の有ったsiRNAを用い、JCV感染細胞の増殖を抑制した。現在この結果をまとめて英文雑誌に投稿する予定である。(2)JCVの感染を制御する因子として、神経系細胞に特異的に発現する転写調節因子を単離する事を目的として、EMSAでJCV感染神経系細胞にのみ認められたbandを抽出し、転写因子調節複合体の1因子としてCstFを単離した。しかしCstFは種々の細胞に発現していたため、yeast two hybrid assayを行い、JCVの感染制御因子を単離することに成功した。現在その因子を発現させ得るベクターを構築し、トラシスジェニックマウスを作成する事を計画している。
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Research Products
(15 results)