2005 Fiscal Year Annual Research Report
嗅球情報処理機構の解明:機能単位である嗅球糸球体を構成する神経細胞の詳細解析
Project/Area Number |
15300115
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小坂 克子 九州大学, 医学部, 教授 (60202058)
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Keywords | 中枢神経系 / 嗅球 / 介在ニューロン / 主ニューロン / 免疫細胞化学 / レーザー顕微鏡 / 電子顕微鏡 / 嗅覚伝達 |
Research Abstract |
研究実施計画に従い、糸球体を構成している神経要素の詳細を、1)正常及びGABAニューロン特異的に蛍光色素GFPを発現させたトランスジェニックマウス(GAD-GFP)を用いて傍糸球体細胞(PG)、その他の"juxtaglomerular neurons(JX細胞)"を解析した。また2)スライスでの細胞内標識色素注入を行った。更に、食虫目の解析から種差が判明していたので、3)テンレック科ヒメハリテンレックについて解析した。 1)-A ラットでPGは嗅入力の有無から2タイプ(有;PG1,無;PG2)に分かれPG1はGABA陽性、PG2はGABA陰性でカルレチニン(CR)陽性か、カルビンディン(CB)陽性であり、比率はGABA:CR:CBは2:2:1であった。ところが、正常マウスでGABA形質を詳細に確認するため固定法、免疫細胞化学法を再検討した結果、この領域全細胞中、GABA陽性60%、CR陽性30%、CB陽性6%、その他30%であった。GAD-GFPマウスでも、GABA陽性70%、CR陽性30%、CB陽性10%、その他30%であることが確認された。ここで、正常マウスでCR陽性中70%が、CB陽性はすべてがGABA陽性であり、GAD-GFPマウスでも同様な傾向であった。即ちマウスではGABAニューロンは全体の2/3を占めPG1とPG2から構成され、ラットとは異なることが判明した。 1)-B その他のJX細胞の一つであるNOS陽性ニューロンは、その3/4を占める小型のGABA陽性細胞と、約1割の大型CCK陽性及び陰性の細胞から構成されていた。CCK陽性細胞は以前から外房飾細胞とされているが、約20%がNOS陽性、約1割がGABA陽性であった。 2)JX細胞の突起等の詳細が判明し、この領域では形態学的特徴、化学的性質から細胞分類の再検討の必要が認識された。 3)遺伝子配列解析手法による新分類では、「真主齧上目」(齧歯目のマウス、ラット等)、「ローラシア獣上目」(食虫目のジャコウネズミ、ハリネズミ等)においてPG1、PG2をこれまで確認していたが、「アフリカ獣上目」のテンレック科ヒメハリテンレックでも確認できた。
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Research Products
(5 results)