2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経アクチン細胞骨格制御に関わるRhoならびにCa2+シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
15300125
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾藤 晴彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00291964)
|
Keywords | Rho / actin / ROCK / mDia / 小脳顆粒細胞 / 軸索 |
Research Abstract |
我々は、小脳顆粒細胞という、神経細胞の中でももっとも数が多い細胞種を材料に、Rhoの上流と下流のシグナル伝達系を解明することを試みた。 SDF-1α/CXCR4による小脳顆粒細胞の形態制御とRho情報伝達系の関与について検討した。まずマウス生後一日齢初代培養小脳顆粒細胞の初期軸索形成・伸展という視点で観察すると、SDF-1αは低濃度で軸索伸展を増強し、高濃度で軸索形成を抑制することが明らかとなった。この際、SDF-1αが低濃度、高濃度においてRho活性を上昇させていることが明らかになった。この実験系でRhoの標的分子の一つであるp160ROCKを阻害すると、SDF-1αによる軸索形成抑制が解除された。また軸索伸展が著しく増強したが、この作用はC3菌体外酵素処理によりなくなることから、Rhoの下流に軸索伸展作用を示す標的分子の存在が推定された。Rho下流分子の候補として、mDia1に着目した。mDia1の中枢神経系における発現部位を検討すると、マウス生後一日齢で小脳の外顆粒層や大脳皮質に多く認められた。さまざまな変異体を用い、リポフェクション法にてmDia1およびその変異体を過剰発現し、その表現型を観察した。その結果、SDF-1α/ CXCR4/Rho/mDia1経路が小脳顆粒細胞の軸索伸展を制御していることが明らかとなった。 以上より、軸索伸展の正の制御にmDia1が必須であることが証明された。すなわち、Rhoは、2つの標的分子ROCKとmDia1を協調的に制御することにより、軸索突起形成・伸展がバランスよく生じ、回路網形成のために最適な条件を生み出している可能性を示唆するものである。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Takemoto-Kimura et al.: "Molecular cloning and characterization of CLICK-III /CaMKIγ, a novel membrane-anchored neuronal CaMK"J.Biol.Chem.. 278. 18597-18605 (2003)
-
[Publications] Arakawa et al.: "Control of axon elongation via an SDF-1a / Rho / mDia pathway in cultured cerebellar granule neurons."J.Cell Biol.. 161. 381-391 (2003)
-
[Publications] Bito H, Takemoto-Kimura S: "Ca2+/CREB/CBP-dependent gene regulation: a shared mechanism critical in long-term synaptic plasticity and neuronal survival."Cell Calcium. 34. 425-430 (2003)
-
[Publications] Bito H: "Dynamic control of neuronal morphogenesis by Rho signaling."J.Biochem.. 134. 315-319 (2003)
-
[Publications] 尾藤晴彦, 荒川芳輝: "中枢神経細胞における突起形態制御機構"脳神経外科速報. 13. 845-850 (2003)