2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15300130
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
山形 要人 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20263262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 弘子 (財)東京都医学研究機構, 研究員 (40162870)
田中 秀和 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70273638)
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Keywords | Arcadlin / FRET / N-cadherin / TAO2 / p38 MAP kinase |
Research Abstract |
1.神経活動によって発現制御される接着分子Arcadlinが細胞外領域で同種結合すると、p38 MAPKがリン酸化され、その後Arcadlinのエンドサイトーシスが生じることを報告してきた。しかしながら、p38 MAPK以降のシグナル伝達は不明であった。そこで、そのメカニズムを明らかにするため、p38 MAPKの基質の同定を試みた。Arcadlin自体がリン酸化される可能性を最初に考えたが、その細胞内領域はリン酸化されなかった。次に、Arcadlinと結合するTAO2がリン酸化されるかどうかを検討したところ、そのC末領域がp38 MAPKによってリン酸化されることが判った。さらに、TAO2の欠失および点変異体を作製し、リン酸化実験を繰り返すことによって1,038番目のセリン残基のリン酸化が重要であることが分かった。そして、このセリンをアラニンに置換したTAO2を導入した細胞では、同種結合後にp38は活性化されるが、Arcadlinのエンドサイトーシスが生じなかった。この結果から、「Arcadlin細胞外結合→TAO2活性化→p38 MAPK活性化→TAO2(S1,038)のリン酸化→Arcadlinエンドサイトーシス」というfeedback機構が働いていると考えられる。 2.Arcadlinが別の接着分子N-cadherinと相互作用することを見出している。これを検証するため、Arcadlin-EYFPとN-cadherin-ECFPをTAO2とともにHEK293細胞に発現させるとFRETを起こすことが分かった。さらに、この細胞にArcadlin細胞外領域蛋白を添加すると、FRETを起こしながら、N-cadheirn-Arcadlin複合体が内在化した。しかし、TAO2を共発現させないとFRETもエンドサイトーシスも生じなかった。また、初代ニューロンに両接着分子だけを発現させると、細胞体近傍までしか分布せず、TAO2を加えることによって樹状突起の末端にまで分布するようになった。以上の結果から、TAO2はArcadlinを形質膜(シナプス)に固定する役割があると同時に、Arcadlinと相互作用することによってコンフォメーションを変え、N-cadheirnとの結合の安定化に関わっていると考えられた。
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Research Products
(5 results)