2005 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚異常、運動平衡失調、脳波異常を示すWTC-dfkラットの原因違伝子の同定
Project/Area Number |
15300141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
庫本 高志 京都大学, 医学研究科, 講師 (20311409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑村 充 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (20244668)
赤池 昭紀 京都大学, 薬学研究科, 教授 (80135558)
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Keywords | カリウムチャネル / ボジショナルクローニング / QT延長 / 無胃酸症 / 高血圧 / 難聴 / コアイソジェニック / 低体重 |
Research Abstract |
Deafness Kyoto(dfk)の候補遺伝子(Fgf3,Fgfr2,Hmx2,Hmx3,Kcnq1,Tcgr1)についてそのcDNA配列をWTCとWTC-dfkで比較した。WTC-dfkでは、カリウムチャネルαサブユニットサブタイプq1をコードするKcnq1遺伝子のエクソン7が欠失していた。この欠失領域はイオンの通過するポア領域を含んでいることから、WTC-dfkのKCNQ1は機能を喪失していると考えられた。ゲノムDNAの塩基配列決定から、WTC-dfkではエクソン7を含む2,040塩基対のゲノム領域が欠失していることが明らかとなり、dfk変異はKcnq1遺伝子の欠失であると考えた。 KCNQ1は、心筋でカリウムチャネルを構成し、遅延整流性の外向き電流を発生させることにより活動電位の再分極を行っている。ヒトではKcnq1遺伝子の変異により、致死性不整脈の危険因子であるQT延長症候群が引き起こされる。Kcnq1遺伝子に変異を持つWTC-dfkにおいても、心電図上でのQT間隔の延長とT波の変形が観察され、活動電位の再分極異常が示唆された。また、WTC-dfkは無胃酸症であることが示された。これは、胃のKCNQ1チャネルの機能喪失によってK+/H+交換が行われなくなったことに起因すると考えられた。昨年度までに観察されたWTC-dfkの内耳病変は、内耳のKCNQ1チャネルの機能喪失により内リンパ液へのK+の供給不全によるものと考えられた。 Kcnq1遺伝子産物は内耳、心臓、胃以外でも腎臓、肝臓、腸管、脳、気道などで発現しているが、これら臓器での機能は明らかでない。WTC-dfkはQT延長症候群、難聴、無胃酸症などのKCNQ1関連疾患の病態発症機構の解明に利用できるだけでなく、未解明のKcnq1の機能を解明するための有用なモデル動物として利用できる。
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Research Products
(3 results)