2003 Fiscal Year Annual Research Report
肥厚性血管病の発病並びに局在化に及ぼすせん断流れおよび水透過速度の影響
Project/Area Number |
15300150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
狩野 猛 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30241384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 光一 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (20301012)
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Keywords | 動脈硬化症 / 吻合部内膜肥厚 / 血管 / リポ蛋白 / 血流 / LDL / 水透過速度 / 血管病 |
Research Abstract |
本研究の目的は、動脈硬化症、脳動脈瘤形成、および吻合部内膜肥厚など、血管壁の肥厚あるいは衰退を伴う血管病の発病並びに局在化が、我々がこれまで行ってきた研究により新たに見出した血管内壁表面上におけるリポ蛋白の流速依存性濃縮・枯渇現象によるものであるか否かを実験により検証することである。そこで、先ず初めに、動脈硬化症および吻合部内膜肥厚が血中コレステロール濃度の高いヒトにほど起こるということに関して、本当に血漿中のコレステロール濃度が高いほど血管壁に多く取り込まれるのか、また、取り込まれる量が多ければ多いほど血管の内膜が厚くなるのかどうかをウシ大動脈由来平滑筋細胞および内皮細胞を重層播種共培養して作製した血管壁モデルおよび蛍光物質で標識したコレステロールの担体である低密度リポ蛋白(LDL)およびウシ胎児血清を用いて検討した。その結果、LDLの濃度が高いほど血管壁モデルの細胞層内に取り込まれる量も多く、時間の経過と共にその量が増大する事が判った。また、LDLを含んでいるところの血清の濃度が高いほど血管壁モデルの細胞層が厚くなることも判った。続いて、多孔質膜上にウシ大動脈由来平滑筋細胞および内皮細胞を重層播種共培養して作製した血管壁モデルを平行平板型流路の一部になるように装着し、これを循環灌流システムに組み込み、蛍光物質で標識したLDLを含んだ培養液を定常流の条件下で循環して血管壁モデルの内腔面を一層に覆っている内皮細胞の表面におけるLDLの濃度(壁面濃度)および細胞層に取り込まれるLDLの量に及ぼすせん断流れおよび細胞層における水透過速度の影響について検討した。その結果、水透過のある場合には、LDLの壁面濃度は理論通りに流速の増減によって変化し、流速(壁せん断応力)が小さいほど高くなることが判った。また、壁面濃度が高いほど細胞層に取り込まれる量も多いことも判った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Koichi Niwa: "The effects of a shear flow on the uptake of LDL and acetylated LDL by an EC monoculture and an EC-SMC coculture"Annals of Biomedical Engineering. 32・4(In press). (2004)
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[Publications] 丹羽光一: "血管内皮細胞-平滑筋細胞共培養系のLDLの取り込みおよび構成細胞の増殖特性"第16回 バイオエンジニアリング講演会講演論文集. 03・38. 33-34 (2004)
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[Publications] 坂井滋郎: "血管内皮細胞-平滑筋細胞共培養系の表面上におけるLDL濃度および細胞によるLDLの取込みに及ぼすせん断流れおよび水透渦速度の影響"第16回 バイオエンジニアリング講演会講演論文集. 03・38. 35-36 (2004)
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[Publications] Takeshi Karino: "Flow-dependent concentration polarization of lipoproteins as a localizing mechanism of vascular diseases"Proceedings of the International Bio-Fluid Mechanics Symposium and Workshop. 15-17 (2003)
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[Publications] Koichi Niwa: "The effects of a shear flow on the uptake of lipoproteins by an EC-SMC coculture"Proceedings of XIII International Conference on Mechanics in Medicine and Biology. 37-38 (2003)
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[Publications] Takeshi Karino: "The effects of a shear flow and water filtration on the structure of cell layers in a hybrid vascular graft-An in vitro study"Proceedings of the First Asian Pacific Conference on Biomechanics. (In press). (2004)