Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (70002102)
鈴木 康夫 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (40221329)
黒木 速人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員 (00345159)
福島 智 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (50285079)
中野 聡子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員 (20359665)
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Research Abstract |
本研究の目的は,バーチャルリアリティやウェアラブルコンピューティングなどを効果的に導入し,聴覚障害者の情報保障のためのオルタナティブな感覚代行システムを開発することにある.本年度は,昨年度に引き続き,開発の対象とする3つの聴覚障害者向けコミュニケーション支援装置の開発に必要な基礎実験とプロトタイプの製作を行った. まず,携帯型自動筆談装置と自動字幕システムに関しては,聴覚障害者が字幕情報を利用して健聴者とのコミュニケーションをインタラクティブにおこなう支援機器設計のための基礎実験を実施した.これは,音声認識装置から(間違いを含めて)出力される字幕情報と顔の表情などのノンバーバル情報を,どのような関係でミックスすべきかを調べる認知心理実験である.その結果,空間的な配置に関しては,「字幕のみ」<「字幕+顔」<「字幕+口元」の条件の順序で文理解度が向上することがわかった.ただし,聴覚障害者による内観報告では,「字幕+顔」が最も見やすく,「字幕+口元」は読話の強制感があることもわかった.一方,時間的な配置に関しては,字幕情報をどのタイミングで顔や口元の映像情報に重畳させるとわかりやすいかを聞いたアンケートの結果から,「同時」あるいは「字幕先行」が好まれることがわかった.プロトタイプ開発に関しては,透過型HMD(電子メガネ)と音声認識装置を利用した携帯型自動筆談装置の試作に着手した. 次に,「携帯型タクタイルエイド」に関しては,前年度の成果に基づいて,4×3チャンネルの広帯域振動刺激が可能な圧電バイモルフ型触覚ディスプレイを試作した.また,それを利用して,周波数と波形を変化させた場合の触感の違いによる情報伝達量を算出したところ,1〜2bit(単一振動子)であることがわかった.さらに,周波数によって「柔らかい-硬い」を,波形によって「滑らか-粗い」を惹起させ得ることを確認し,聴覚代行にとって大切な声質情報の触感情報を介した伝達可能性を示唆することができた.
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