2005 Fiscal Year Annual Research Report
自律神経活動性情報のフィード・バックを用いる睡眠環境調節システムの開発
Project/Area Number |
15300201
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
そうけ島 茂 国立保健医療科学院, 公衆衛生政策部・行政政策室長 (40262513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏡森 定信 富山大学, 医学部(保健医学), 学部長(教授) (20019615)
梅野 克身 富山大学, 医学研究科, 助手 (90086596)
陳 和夫 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90197640)
山岡 和枝 国立保健医療科学院, 技術評価部, 開発技術評価室長 (50091038)
小林 正子 国立保健医療科学院, 生涯保健部, 行動科学室長 (50262069)
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Keywords | 睡眠 / 温熱環境 / 自律神経 / 副交感神経 / 心拍変動 / 脳波 / フィード・バック / QOL |
Research Abstract |
睡眠中の心拍変動解析による心臓副交感神経活動性指標を寝室の温熱環境調整にフィード・バックしこの指標と同時に睡眠脳波の深度とQOLを改善させるコンピユータ制御システムを開発・検証した。 システムの動作原理は本研究による3つの観察に基づく:(1)20℃から30℃の範囲の一定の室温について、睡眠中の心臓副交感神経活動性指標としての心拍変動スペクトル・パワーの高周波成分(HF、帯域0.15〜0.4Hz、単位msec^2)の水準、ならびに、睡眠深度に関する脳波のスペクトル・パワーのデルタ波成分(δ、帯域0.5〜4Hz、単位μV^2)の水準は室温に依存する、(2)睡眠中に室温を変化させると、HFとδとは同じ方向に増減する傾向にある、しかし、(3)室温の水準や変化によるHFとδの増減の大きさと方向は、個体間で、また、同じ個体内においても睡眠経過時間によって異同がある。これらの観察から、中間的な室温(25℃)から出発し5分ごとにそれを変化させ、HFが増大するとき室温を同じ方向に1℃変化させ、HFが減少するとき室温を反対方向に1℃変化させるフィード・バック・システムを構築した。システムの効果を確認するため、室温を一定水準にしたとき(22℃、25℃、ないし28℃)を対照とし、本システムによって一定時間ごとに室温を変化させたときのHFとδの睡眠経過中の推移を比較した(n=9)。相対湿度は常に50%に調整した。 室温一定の場合、HFは22℃で最大で室温が高いほど小さく、反対にδは28℃で最大で室温が低いほど小さかった。システムを動作させて室温を変化させると実現された平均室温は25℃より低下し、25℃一定に比べてHFとδの両方が平均10%以上、有意に増大した。今回開発した温熱環境の調整システムによって、睡眠中の心臓自律神経活動と睡眠深度の両者を改善できることが示されたのでこのシステムを実用化させることが可能になった。
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