2004 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害者の語音聴取に影響を及ぼす室内音響特性とその評価法および改善に関する研究
Project/Area Number |
15300203
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
白石 君男 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 助教授 (90187518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米本 清 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (90305277)
今村 明秀 福岡大学, 医学部, 助手 (00320292)
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Keywords | 公民館 / 聾学校 / 室内音響特性 / 残響時間 / 高速音声伝達指数(RASTI) / 騒音レベル / 聴覚障害 / 補聴器 |
Research Abstract |
平成16年度において,主に3点について検討を行った。 1.室内音響特性の測定 (1)公民館 福岡市内の6つの公民館の講堂を対象として,残響時間・騒音レベル・高速音声伝達指数(RASTI)の測定を行った。その結果,最も長い残響時間をもつ公民館は,最小の残響時間の2倍であった。これは,有効板の使用の有無や天井材の吸音率の違いによるものと考えられた。騒音レベルは,許容値以内であった。RASTIは,健聴者のスピーチコミュニケーションに適した値を示したが,聴力の低下した高齢者では,やや不十分な値となった。 (2)聾学校 昨年度の福岡聾学校と久留米聾学校の測定に引き続き,今年度は福岡県内の残り2つの聾学校(小倉聾学校,直方聾学校)について,残響時間・騒音レベル・高速音声伝達指数(RASTI)の測定を行った。その結果,小倉聾学校の一部に残響時間が最適な値の2倍以上の値をもつ教室が存在することが明らかとなった。 2.聴覚障害者における補聴器装用下の単語了解度検査法の開発 感音性難聴者9名を対象として,3種類の残響時間(0,1,2秒)を付加した語音素材を用いて防音室内で聴取実験を行った。また実環境の教室(残響時間2秒)で残響時間0秒の語音素材を使用して実験を行った。その結果,残響時間が長くなると,語音聴取能が低下した。また防音室内で残響時間2秒の語音素材による成績は,教室のそれと一致していた。この方法により,防音室内においても残響時間が実環境において及ぼす影響を評価出来ることが示された。 3.残響下におけるFM補聴器と雑音下における指向性補聴器の有効性 残響の問題を解決するといわれるFM補聴器の評価方法について提案した。また環境適応型指向性マイクロホンをもつデジタル補聴器が雑音下で,補聴器装用側で約8dB指向性に比較して改善することを明らかにした。
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Research Products
(2 results)