2005 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児の就学前スクリーニングと治療教育効果に関する研究
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15300209
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宇野 彰 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (10270688)
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Keywords | 学習障害 / 就学前 / 追跡調査 / 認知検査 / 音韻認識機能 / 図形 / 重回帰分析 / 小学2年生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、就学前に学習障害児を検出できる検査を作成することである。また、学習障害検出後の指導教育方法について科学的に検討することである。その結果、現在小学校で発見されている学習障害児が就学前に発見され、適切な対応がなされることによって不登校は少なくなり、自己に肯定的な成人として社会に羽ばたくことが可能になり、社会全体が活性化していく方向につながることも期待される成果のひとつと思われる。 研究3年目としての今年度は、研究初年度に認知検査を施行した関東4都県約1000名の当時就学前の6歳児童のうち約350名に関して追跡できた。現在小学2年生時の対象児の知能検査や言語発達検査および読み書きの学習到達度などを測定した。ひらがなやカタカナ、漢字を従属変数として重回帰分析を実施した。 その結果、ひらがなに関する読み書き学習到達度を予測する認知項目は、音韻想起を測定する課題としてのラピッドネーミング(Rapid Automatized Naming : RAN)、音韻認識能力を測定する課題としての単語の逆唱課題、図形の記憶力を測定する課題などであった。一方、音声言語の発達を測定するための検査としての文章の聴覚的理解課題、ワーキングメモリ能力を測定する課題としての数列の逆唱との関連は小さかった。漢字に関しては、音読力や書字力が高い群よりも、低い群において図形の記憶課題が有意に予測する項目として抽出された。 ひらがなや漢字の習得を予測するためには、就学前に、音韻想起検査と音韻認識検査、および図形の記憶力を測定する項目が必要であることがわかった。
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Research Products
(6 results)