2006 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児の就学前スクリーニングと治療教育効果に関する研究
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15300209
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宇野 彰 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (10270688)
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Keywords | 学習障害 / 就学前 / スクリーニング / ラピッドネーミング / 音韻想起 / 図形の記憶 / ワーキングメモリ / 音韻認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は、就学前に学習障害児を検出できる検査を作成することである。また、学習障害検出後の指導教育方法について科学的に検討することである。 対象は、研究初年度に就学前6歳児であった関東4都県1647名である。就学前の時点から小学1年生時のひらがなの読み書きの習得度、2年生時のカタカナ、漢字の習得度について知能検査や言語発達検査および読み書きに関連する認知検査などからステップワイズ重回帰分析を用いて予測した。就学前に実施した検査項目は、音韻想起を測定する課題としてのラピッドネーミング(Rapid Automatized Naming : RAN)、音韻認識能力を測定する課題としての非語の復唱課題と単語の逆唱課題、ワーキングメモリ課題としての数列の逆唱課題、聴覚的な文の理解力検査課題、図形の記憶力を測定する課題などなどである。その結果、小学1年生時のひらがな一文字の音読力には就学前の図形の短期記憶力が、ひらがな非語の音読には単語の逆唱が有意な予測因子として抽出された。小学2年生のカタカナ音読を従属変数にした場合には、就学前の非語の復唱が、カタカナ非語音読では非語の復唱に加えて図形の遅延再認が、漢字音読にも図形の遅延再認が予測因子として有意に関わっていた。カタカナ書字では、単語の逆唱が、ひらがな書字では文の理解力および非語の復唱が、漢字書字では図形の遅延再認が有意な予測因子であった。音韻処理に関わる課題だけでなく、図形の処理に関する機能が、日本語の読み書きと関連が強く、就学前に予測できることがわかった。読み書きの習得を就学前に予想するためには数分間の認知検査が有用であるとおもわれた。 科学的に効果が検討された介入方法に関して、一編の論文を出版し、一編については投稿中である。苦手な認知機能を迂回させる方法論にてその効果が認められていた。専門的な介入方法として有用であると思われる。
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Research Products
(7 results)