2005 Fiscal Year Annual Research Report
情動の最適化をもたらす運動の長期継続実施が脳機能・体温・免疫能に及ぼす効果の検討
Project/Area Number |
15300215
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森谷 きよし 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40000939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 明日香 北海道大学, 医学部・保健学科, 助手 (90281831)
井瀧 千恵子 弘前大学, 医学部・保健学科, 講師 (00285008)
侘美 靖 北海道文教大学, 人間科学部, 助教授 (90279472)
山本 徹 北海道大学, 医学部・保健学科, 教授 (80261361)
河口 明人 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (70214608)
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Keywords | 快適自己ペース運動 / 成年女性 / 性周期 / 情動(感情)の最適化 / 血中エストラジオール濃度 / 血中カテコールアミン濃度 / 前頭前野脳波左右偏側性 / 左前頭葉の賦活 |
Research Abstract |
平成15年度と16年度の研究結果をもとに,青年女性を対象に研究を行った。成年女性には,男性と異なる性周期があり,体内の女性ホルモン環境が周期性に変化する。作用の異なる2種類の女性ホルモン血中濃度が変化することで,情動・自律神経系も周期性に変化すると報告されている。3ヶ月以上運動継続実施群(習慣群)と非実施対照群(非習慣群)を設け,基礎体温を測定させ,安定した性周期の卵胞(低温)期と黄体(高温)期を確認し,各期に快適自己ペース運動(CSPE)を20分負荷して,情動・体温・血液ホルモン濃度,脳波を測定した。対照実験を異なる日の同じ時間帯に設け,CSPEを負荷する替わりに20分安静に過ごさせた。両群の性周期各期でCSPE効果を検討することから,CSPEによる成年女性の情動最適化の仕組みの解明を目指した。両群ともに,黄体期CSPEで対照安静よりも快感情得点が増加した。習慣群では終了後も高く維持されたが,非習慣群では元に戻る傾向であった。卵胞期CSPEで,習慣群では不安感得点が低下し,非習慣群では低下しなかった。運動を習慣化すると,CSPEによる情動の最適化が生じやすいと推察された。血中エストラジオール(E2)濃度は,両群の黄体期CSPEによって上昇したが,卵胞期CSPEでは上昇しなかった。E2濃度は血中ノルアドレナリンやドーパミンの上昇によって増加すると考えられ,E2濃度上昇が感情を改善するという既報と矛盾しなかった。CSPE時に脳波を測定し,前頭前野左右偏側性を検討した。左前頭葉の賦活が卵胞期習慣群のCSPEによって認められ,扁桃体活動の抑制を示唆したが,非習慣群では明確ではなかった。黄体期CSPEでは,両群ともに,左前頭葉の賦活は明確ではなかった。情動を最適化するCSPEの効果は,性周期の両期に習慣群で非習慣群より顕著であった。生理的機序には性周期による違いが示唆された。
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Research Products
(2 results)