2003 Fiscal Year Annual Research Report
運動トレーニングによる体脂肪量減少効果の分子機構の解明
Project/Area Number |
15300222
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井澤 鉄也 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (70147495)
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Keywords | ラット / 運動 / 脂肪細胞 / 脂肪細胞径 / TNF-α / 一酸化窒素 / PPAR-γ / 脂肪合成酵素 |
Research Abstract |
運動トレーニングが脂肪組織量を減少させることは良く知られている。この体脂肪量の減少は主に脂肪細胞の縮小によるとされているが、脂肪組織のCellularityに及ぼす運動の影響について確たる証拠は得られていない。本研究の主たる目的は、運動トレーニングがadipogenesisや脂肪細胞のcellularityに及ぼす影響を詳細に解明することにある。現在、脂肪細胞の分化に関与する因子は、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質(C/EBP)、リガンド依存性核内受容型転写因子(PPARγ)やステロール調節エレメント転写因子(SREBP)が想定されている。これらの因子は脂肪細胞から放出される腫瘍壊死因子α(TNF-α)や一酸化窒素(NO)の修飾を受ける。そこで本年度は、脂肪細胞の分化に関与する因子群とTNF-αやNOの相互作用と、運動や絶食が脂肪細胞の大きさに及ぼす影響を検討した。脂肪細胞をTNF-αと6時間培養すると、caspase3とPPARγの遺伝子発現が著しく上昇した。NOはTNF-αによるcaspase3の遣伝子発現上昇を抑制した。しかし、抗アポトーシス作用を持つBcl-xL遺伝子発現はTNF-αの影響を受けなかった。さらに、脂肪細胞径に及ぼす運動と食事の影響について検討した。絶食は細胞径を著しく低下させ、復食によってほぼ回復する。運動はこの復食による細胞径の回復を有意に抑制することが明らかとなった。また、運動後の脂肪組織ではTNF-αの含量が有意に増加るすとともに、脂肪細胞合成酵素の遺伝子発現も著しく低下することが明らかとなった。以上の結果から,TNF-αは白色脂肪細胞のアポトーシスシグナルを増加させ,NOはこれを抑制するものと推測され、運動は脂肪合成に関わる遺伝子発現を著しく低下させることが明らかとなった。
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