2004 Fiscal Year Annual Research Report
運動トレーニングによる体脂肪量減少効果の分子機構の解明
Project/Area Number |
15300222
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井澤 鉄也 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (70147495)
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Keywords | ラット / 運動トレーニング / 脂肪細胞 / TNF-α / アポトーシス / IAP / Bcl-xL |
Research Abstract |
前年度において脂肪細胞のアポトーシスは腫瘍壊死因子α(TNF-α)によって引き起こされることを確認した。しかし一方で、TNF-αは生存シグナルをも増強させる。そこで、本年度はTNF-α受容体以降のシグナル伝達経路の運動トレーニングによる変化を中心に検討した。実験にはWistar系雄ラットを用い、コントロール群(CR)とトレーニング群(TR)に分けた。TNF-α(20ng/ml)で脂肪細胞を培養したところ、抗アポトーシス作用を持つIAP2遺伝子の発現が誘導され、逆に脂肪合成に重要な酵素であるfatty acid syntase (FAS)の遺伝子の発現は減少した。これらの変化は運動トレーニングによって増強され、IAP遺伝子の発現を誘導するIκB kinaseβ遺伝子もTRで増加した。しかしながら,アポトーシスを引き起こすcaspase-3の活性化は両群ともに見られなかった。さらに,Mn-superoxide dismutase酵素量がTRで増加した。以上のことは,TRの脂肪細胞では生存シグナルが増強していることを示唆している。さらに、単回運動の影響について検討した。その結果、細胞の生存に働くBcl-xL遺伝子発現がCRでは減少するものの、TRではその発現低下が見られなかった。また、TRのFAS遺伝子発現は単回運動で有意に減少した。TUNNEL法により脂肪細胞のアポトーシスを確認したが、両群ともに脂肪細胞のアポトーシスは観察されなかった。以上のことから、運動トレーニングによって脂肪細胞のTNF-αに対する反応性が増強されるが、その影響は脂肪細胞の数ではなく大きさの減少を引き起こす方向に強く働き、脂肪組織量の減少が引き起こされるものと思われる。一方で、脂肪細胞は運動トレーニングによって生存シグナルが増強することが示唆された。
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Research Products
(3 results)