2004 Fiscal Year Annual Research Report
運動による活性酸素ストレスと骨格筋の防御機構:NOを介した脱共役タンパク質の役割
Project/Area Number |
15300223
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大野 秀樹 杏林大学, 医学部, 教授 (00133819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木崎 節子 杏林大学, 医学部, 助教授 (00322446)
人見 嘉哲 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70231545)
中野 法彦 杏林大学, 医学部, 講師 (40322721)
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Keywords | 運動 / 骨格筋 / 白血球 / スーパーオキシドジスムターゼ / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素-II / 脱共役タンパク質 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
運動は、現在大きな社会問題となっている生活習慣病の予防・治療の最も基本的なツールの1つである。他方、運動は酸化ストレスを亢進させる。特に、骨格筋は運動中に血流が著しく増加し、それに伴って活性酸素の発生が高まる。われわれは、平成15年の研究では、激運動によるラット骨格筋の活性酸素発生には、白血球以外の因子が関連すること、運動の抗動脈硬化作用にはEC-SODが関与することなどを明らかにした。 平成16年度では、ヒト研究を実施した。すなわち、V^^°O_2max80-90%の水泳/ランニング・インターバルトレーニング30分、およびV^^°O_2max70%の長距離走/長距離水泳30分間を1セットとして週5セット、計3カ月間の運動トレーニングを行い、その前・後に外側広筋(深さは中間部)から生検によって骨格筋サンプルを採取した。トレーニング後、V^^°O_2maxが有意に増大し、有酸素能の改善が示唆された。mRNAの発現は、UCP2は有意に増加し、HSP70、CuZn-SOD、Mn-SODは有意に減少し、一方VEGF、bFGF、HIF1α、ミオグロビン、あるいはUCP3には変化が見られなかった。さらに、HIF1α mRNAとVEGF mRNAとの間に正の高い相関性が認められた。 各遺伝子のトレーニング後の変化は、1回1回の運動への遺伝子の反応が3カ月間インテグレイトされた結果と考えられた。つまり、同じ強度の繰り返し運動に対し、SODアイソザイムを中心にした骨格筋抗酸化酵素システムが強化され、その結果、運動による活性酸素の発生が徐々に小さくなり、フィードバックによってSODアイソザイムmRNAの発現が弱くなったと推測された。抗酸化作用をもつUCP2のmRNA発現が有意に増大した事実は、この仮説を裏づけるかもしれない。HIF1αとVEGFのmRNAの相関は、低酸素による血管新生亢進を示唆した。このように、生体は比較的激しい持久性トレーニングに対し、効果的に適応する可塑性を有している。
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Research Products
(8 results)