2003 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス・マネージメントが術後癌患者に及ぼす心理・生理学的効果の研究
Project/Area Number |
15300234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
成尾 鉄朗 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70244233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 厚司 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30243934)
中野 静雄 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00295255)
野添 新一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10117533)
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Keywords | 担ガン患者 / 手術侵襲 / 酸化ストレス / 免疫能 / 性格特性 / 抑うつ / ストレスマネージメント / 自律訓練法 |
Research Abstract |
本研究は、癌の発症、悪化の機転に関係する多くの要因の中で心理的ストレスの要因が、どのように関係し、それに対処するための心理的ケアが術後経過にどのように影響するかをあきらかにしていくことを目的としている。本年度は、手術適応となった患者の性格特性や心理状態に、ストレス・マネージメントが及ぼす短期的効果を明らかにするための取り組みと、酸化ストレスの生理マーカー測定のシステムを軌道に乗せることを目的として取り組んだ。 具体的には、心理性格特性の分析は、MMPI(ミネソタ多面人格目録)に基づき作成されたMINI自動診断システムを使用し、術前1週間以上前に行った。術前後の精神状態の評価は、SDS(自己評価式抑うつ性尺度)を使用した。免疫能の指標として、NK細胞活性を測定した。サンプリングは術前1週間前、術直前、術後1週後、1ヵ月後、6ヵ月後に行った。ストレスマネージメントとして自律訓練療法を、ランダムに選んだ患者に術前に受けてもらい、受けなかった患者と比較検討した。今回の検討は、承諾を得られた患者に対してのみ行った。各疾患群における術前後のSDSスコアとNK細胞活性を見ると肝・肺癌患者が手術経過を通じSDSスコアが高くうつ傾向にあり、NK細胞活性が低かった。胃・大腸癌患者は他に比べSDSスコアは低くNK細胞活性は高かった。MINI自動心理分析により神経症傾向もしくは分裂気質と判断された患者(12名)は、正常とされた患者(19名)に比べ、SDSスコアは高い傾向にあった(正常群:34.9、神経症・分裂症群:39.7)。術前の自律訓練療法で、神経症・分裂症群においてSDSスコアを改善する傾向を認めた。患者の心理傾向・精神状態を知ることは、患者の免疫能・生活状態をしることとなり、手術ストレスに対する対応に有用と考えられた。特に今回、神経症傾向・分裂気質患者のストレスの対策として自律訓練療法は有用であることが示唆された。なお、今年度は酸化ストレスマーカー測定系の立ち上げの期間であったため、8OHdG/dGの測定は次年度から開始される予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Matsunaga, H.Ohtaki, A.Takaki, Y.Iwai, Y.Li, H.Mizuguchi, T.Miyake, K.Usumi, S.Shioda: "Nucleoprotamine diet derived from salmon's soft roe protects a delayed cell death after transient forebrain ischemia in hippocampal neurons in mice"Neuroscience Research. 47. 269-276 (2003)
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[Publications] T.Katafuchi, A.Takaki, S.Take, T.Kondo, M.Yoshimura: "Endotoxin inhibitor blocks heat exposure-induced expression of brain cytokine mRNA in aged rats"Molecular Brain Research. 118. 24-32 (2003)
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[Publications] Sakamoto F, Natsugoe S, Yoshinaka H, Shimada M, Owaki T, Nakano S, Baba M, Aikou T: "Endosonographic detection of mediastinal lymph node metastasis in superficial carcinoma of the esophagus : assessment by type classification and histogram"Journal of Gastroenterology. 39. 7-13 (2004)