2005 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス・マネージメントが術後癌患者に及ぼす心理・生理学的効果の研究
Project/Area Number |
15300234
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
成尾 鉄朗 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70244233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 厚司 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30243934)
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Keywords | 癌治療 / 心理的ストレス / ストレス・マネージメント / 酸化ストレス / 尿中バイオピリン / 放射線治療 / 抑うつ / 不安 |
Research Abstract |
本研究は、癌の発症、悪化の機転に関係する多くの要因の中で心理的ストレスの要因が、どのように関係し、それに対処するための心理的ケアが治療経過にどのように影響するかをあきらかにしていくことを目的としている。本年度は、固形癌で放射線治療の対象となった患者の性格特性や心理状態に、ストレス・マネージメントが及ぼす短期的効果を明らかにするために取り組むことと、心理テストバッテリーによる調査と酸化ストレスの生理マーカーの測定を行うことを目的として取り組んだ。 具体的には、心理性格特性については、POMS(ストレス尺度評価法)、BDI-II(うつ尺度)、STAI(不安尺度評価)を患者群に用いて、術前、術後の経過中の変化を評定しながら、一部の無作為に選ばれた乳がん患者に対しては,ストレス・マネジメントとして自律訓練法を毎日自分で行なうように指導し,それが心理面および生理面に変化を及ぼすかについても検討した.本研究では、心理的指標として自己記入式の3種類の心理テストの評点を用い、生理的指標としては尿中バイオピリン濃度を用いた. 本研究では主に次の3点が明らかになった。1)放射線治療前後比較の結果、患者全体では「抑うつ」「不安」「精神健康」の尺度において有意な改善を認めた.2)尿中バイオピリンの値は,放射線治療開始前から中間点にかけては減少するが,中間点から放射線治療終了後にかけては増加した.3)自律訓練法を行なうことにより,放射線治療終了後の「抑うつ」「不安」「精神健康」が有意に改善した. 以上により,放射線治療後のがん患者は、心理面においてすべてが悪化するのではなく、一部においては治療前よりも好転する項目があることが明らかになった。さらに、ストレスを軽減することを意図した自律訓練法が、一部の心理面を改善させ、部分的ではあるが、生理的側面でも状態の悪化を防ぐ可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)