2004 Fiscal Year Annual Research Report
初期原子力開発の歴史に関する日独露の実証的な比較研究
Project/Area Number |
15300291
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 正勝 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (20106959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶 雅範 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (00211839)
市川 浩 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00212994)
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Keywords | 原子力開発 / 核兵器開発 / 日本,ドイツ,ソ連 / 第二次世界大戦 / 冷戦 / 科学者の社会的責任 |
Research Abstract |
今年度は,研究計画書に基づき,論文の取りまとめを行った.この中で特に明らかになった点は,次の通りである. (1)日本の戦時原子力研究開発 日本海軍は技術研究所電気部で,仁科芳雄を委員長とする「物理懇談会」で原子力の実現性について議論したことが知られているが,数ヶ月で解散となった.その原因として,委員の一人であった長岡半太郎の役割が重要であったことが,海軍の科学技術審議会の議事録等で明らかになった. (2)ドイツの研究開発 最近,旧ソ連に持ち出されたドイツの戦時資料から,ドイツ降伏直前に,何らかの核実験をゲルラッハのグループが行ったことが明らかにされた.実験を行った場所とされるところからは,放射線が観測されている.通常爆薬による爆縮法で,リチウム化合物で核融合を起こし,同時に周辺のウランに部分的な核反応を引き起こしたのではないかと想像されているが,詳細は依然不明である. (3)旧ソ連における問題 近年,旧ソ連の核開発を初期段階で加速させたのは,スパイによるマンハッタン計画からの情報であったとする見解が有力であったが,戦死したドイツ人将校の鞄から発見されたいわゆる「スターリノフ・ノート」の役割が注目されつつあることが明らかにされた.
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Research Products
(4 results)