2005 Fiscal Year Annual Research Report
初期原子力開発の歴史に関する日独露の実証的な比較研究
Project/Area Number |
15300291
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 正勝 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (20106959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶 雅範 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (00211839)
市川 浩 広島大学, 総合科学部, 教授 (00212994)
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Keywords | 原子力開発 / 核兵器開発 / 日本、ドイツ、ソ連 / 第二次世界大戦 / 冷戦 / 科学者の社会的責任 |
Research Abstract |
2005年3月にドイツでRainer Karlsch著のHitlers Bombe(Deutsche Verlags-Anstalt)が出版された。旧ソ連時代の文書館で発見された資料をもとに、ドイツが1945年3月に核連鎖反応の実験を行ったことをはじめて跡付けたものである。この件については、海外共同研究者のMark Walker氏(Union College, UAS教授)から事前に話を聞いていたが、Karlsch、Walker両氏の論文(研究発表欄の論文参照)が出たのを機に、日本でも検討が始まり、Karlsch氏が主張する核融合反応を試みたという点については、慎重な検討が必要であるとの結論を得た。また、水爆点火に必要ないわゆるテラー・ウラム配置の概念が、すでにドイツで理解されていたと思われる事実が注目された。その後、ロシアでの検討の様子を市川が調査した結果、海外共同研究者のVladimir Vizgin氏(ロシア科学アカデミー科学史技術史研究所上席研究員)らも、ほぼ同意見であった。山崎の訪米の際には、Mark Walker氏と意見交換を行い、出版社側から若干の過剰宣伝的な動きがあったことを理解した。 研究の方法論としては、前年度に公刊された成果をもとに議論が深められ、いわゆる「全体主義的国家」における科学の展開については、政治的な環境を特別視せずに、各国の歴史を連続性と不連続性の両面から慎重に議論することが重要であることが再認識された。この点については、別の研究計画で来日したマックス・プランク研究所のHelmut Maier氏の東京での講演"German Science Marches On. 'The Success of German Armament Research During World War II."と、その後の意見交換から得るものがあった(Maier氏の主張については、研究発表欄の著書に収録)。
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Research Products
(4 results)