生命科学/技術の公共性と生活者の利益をめぐる諸問題の歴史的・社会的・倫理的研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15300292
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Ritsumeikan University
• Principal Investigator: 松原 洋子 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 教授 (80303006)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 佐藤 達哉 立命館大学, 文学部, 助教授 (90215806) ; 小泉 義之 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 教授 (10225352) ; 遠藤 彰 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 教授 (90148388) ; 土屋 貴志 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90264788) ; 立岩 真也 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 助教授 (30222110)
• Keywords: 生命倫理 / 公共性 / 障害者 / 科学技術社会論 / 生命科学 / 医療 / コミュニケーション / マイノリティー

Research Abstract

本研究は、生命科学・生命技術の公共性と生活者の利益の一致および対立をめぐる諸問題について、(1)過去から現代に至る事例を収集・分析し、(2)生活者の利益にもとづく生命科学技術の公共性および制度のありかたを検討するとともに、(3)総合的見地から生命科学・生命技術の進展に対応する倫理原則を提示することを目標としている。平成15年度はこれに関連する研究を各自遂行するとともに、学内外の研究者・大学院生とのネットワーキングによる開かれたプロジェクト遂行システムの基盤形成を行った。その試みの一つとして2003年8月25・26日に滋賀県近江白浜でワークショツプ「テクノバイオポリティクス研究会」を開催、学内外の研究者(10名)および大学院生(14名)が参加した。ゲストスピーカーからは、橋本明(愛知県立大学)「ワシントン、1930年5月-ドイツ精神衛生運動の系譜」、上農正剛(九州保健福祉大学)「身体の価値づけに及ぼす言語の意味とはたらき-聴覚障害モデルの検討を通して」、坂井律子(NHK放送文化研究所)「障害者とIT-放送のユニバーサル化」、鈴木英果(現代思想編集部)「科学とジャーナリズム」、本学院生からは「セクシャルマイノリティと子育て」、「エマージング感染症-SARSの事例」の報告があり、討議を行った。本ワークショップを通じて、生命科学技術・情報技術・メディア・専門家集団とマイノリティーをめぐる問題の所在と研究方法について多角的に検討した。なお『現代思想 特集争点としての生命』(2003年11月号)に企画協力し、本ワークショップ参加者のうち7名が同特集に執筆した。また、先端総合学術研究科院生による「感染症研究会」等などが感染症問題関係のデータベース構築に着手している。

Research Products

• [Publications] 松原洋子: "新生児聴覚スクリーニングと生命倫理"手話コミュニケーション研究. 49号. 18-25 (2003)
• [Publications] 松原洋子: "日本の優生法の歴史"優生保護法が犯した罪(優生手術に対する謝罪を求める会編)(現代書館). 104-115 (2003)
• [Publications] 松原洋子: "The Reception of Mendelism in Japan, 1900-1920"Historia Scientiarum. 12-3(印刷中).
• [Publications] 遠藤彰: "江戸の虫たちをめぐる表象と言説-秋草の美学から虫のパロディへ"虫たちをめぐる自然観(上田哲行編)(京都大学学術出版会). (印刷中).
• [Publications] 遠藤彰: "ファーブル『昆虫記』の翻訳と読者-「虫好き文化ルネサンス」の現在と未来"虫たちをめぐる自然観(上田哲行編)(京都大学学術出版会). (印刷中).
• [Publications] 遠藤彰: "木津川川原の狩蜂と花蜂:生息場所と訪花植物"木津川の総合研究:京田辺地区を中心として(河川生態学学術研究会木津川研究グループ編)(リバーフロント整備センター). 455-468 (2003)
• [Publications] 小泉義之: "受肉の善用のための知識--生命倫理批判序説"現代思想. 31-13. 76-85 (2003)
• [Publications] 立岩真也: "生存の争い--医療の現代史のために・11"現代思想. 31-4. 224-237 (2003)
• [Publications] 立岩真也: "生存の争い--医療の現代史のために・12"現代思想. 31-7. 15-29 (2003)
• [Publications] 立岩真也: "生存の争い--医療の現代史のために・13"現代思想. 31-10. 224-237 (2003)
• [Publications] 立岩真也: "生存の争い--医療の現代史のために・14"現代思想. 31-12. 26-42 (2003)
• [Publications] 立岩真也: "現代史へ--勧誘のための試論"現代思想. 31-13. 44-75 (2003)
• [Publications] 立岩真也: "医療・技術の現代史のために"産業化と環境共生(講座社会変動2)(今田高俊編)(ミネルヴァ書房). 258-287 (2003)
• [Publications] 土屋貴志: "In the Shadow of the Past Atrocities : Research Ethics with Human Subjects in Contemporary Japan"Eubios Journal of Asian and International Bioethics. 13-3. 100-101 (2003)
• [Publications] 土屋貴志: "Provisions for Review of Genetic Research in Japan"Eubios Journal of Asian and International Bioethics. 13-4. 127-130 (2003)
• [Publications] 土屋貴志: "米国のbioethics諮問委員会の系譜--大統領委員会まで"人文研究(大阪市立大学大学院文学研究科紀要). 55号(印刷中).
• [Publications] 土屋貴志: "医療倫理学と保健医療社会学"保健医療社会学論集. 14-2(印刷中).
• [Publications] 小泉義之: "生殖の哲学"河出書房新社. 126 (2003)
• [Publications] サトウタツヤ, 高砂美樹: "流れを読む心理学史"有斐閣. 247 (2003)