2003 Fiscal Year Annual Research Report
古代青銅器の熱処理と土中腐食を中心とした材料科学的研究
Project/Area Number |
15300294
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Takaoka National College |
Principal Investigator |
横田 勝 高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (10029225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野瀬 正照 高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (70269570)
三船 温尚 高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (20181969)
菅谷 文則 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10275175)
清水 康二 橿原考古学研究所, 調査第2課, 主任研究員 (90250381)
宮原 晋一 橿原考古学研究所, 調査第2課, 総括研究員 (90250373)
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Keywords | 古代青銅器 / 文化財保存 / 金属文化財 / 材料科学 / 高錫青銅 / 熱処理 / 微生物腐食 / DNA |
Research Abstract |
古代青銅鏡は高錫青銅合金が使われていることは周知のとおりである。この合金は銀白色をしており鏡としての自然色を反射する機能は満たすものと判断されるが、一方でこの材料は硬く、破損しやすい性質がある。古代の工人達はこのような好ましくない性質を熱処理によって解決していたのではないかとの観点から本研究が始まり、現在は破壊分析が可能な100面余りの古代青銅鏡について合金の組成分析を行うとともに、これらの顕微鏡組織を観察し熱処理が施されていたかどうかの判定と整理を行っている。また、高錫青銅合金の熱処理による材料学的性質の変化を解明するための実験を行っている。さらに土中腐食層の材料学的調査から微生物腐食の可能性を裏付ける結果を得た。このような観点から現在、古代青銅器の腐食層から試料を採取し、DNA鑑定を行っている。また同時に微生物の培養、スクリーニングの繰り返しにより濃化された微生物を使用して青銅合金の腐食試験を実施しつつある。現在DNA検査を行った試料のうち、中国、後漢時代に製造された青銅鏡について検出された菌種はeubacterium属の可能性が最も高く、第2の候補としてβ-Proteobactriumの相同性が比較的多くヒットする結果となった。また中国・山東省文物考古研究所から送られてきた5点の古代青銅器に発生した錆についてもDNA検査を行っており、これらの結果が出るのを待って青銅器と微生物腐食の関係を明らかにし、金属文化財の微生物腐食・劣化を考慮した保存の考え方に問題を提起したいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Yokota, F.Sugaya, H.Mifume, Y.Kobori, K.Shimizu, K.Nakai, S.Miyahara, Y.Shimizu: "Possibility of Bacteria-Induced Corrosion of Ancient Bronze Mirrors Found in Ground"Materials Transactions (The Japan Inst.of Met.). 44/2. 268-276 (2003)
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[Publications] M.Yokota, F.Sugaya, H.Mifume, S.Miyahara, Y.Shimizu: "The research on the possibilities of microbiologically induced corrosion of the ancient bronze mirror. (in English and Chinese)"中国少数民俗科技史&西夏科技史国際会議論文集. 第6回. 54-58 (2003)
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[Publications] 横田 勝: "実験考古学を目的とした石製鋳型材の材料学的調査"北九州鋳造研究会会報. 10巻. 35-48 (2004)