2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア地域における青銅器文化の移入と変容および流通に関する多角的比較研究
Project/Area Number |
15300296
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助教授 (50205663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 峯雄 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (10011701)
西谷 大 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助教授 (50218161)
藤尾 慎一郎 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助教授 (30190010)
土生田 純之 専修大学, 文学部, 教授 (50228524)
亀田 修一 岡山理科大学, 綜合情報学部, 教授 (10140485)
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Keywords | 青銅器 / 国際研究者交流 / 鉛同位体比 / 韓国 / 馬形帯鉤 / 筒型銅器 / 宮内庁 / 楽浪 |
Research Abstract |
古代の朝鮮半島における青銅資料などの原料産地と、朝鮮半島と日本との交流関係を明らかにするため、韓国慶尚道・釜山地城出土資料、楽浪土城出土資料、宮内庁所蔵の青銅製品・金銅製品、長野市教育委員会所蔵・国立歴史民俗博物館所蔵の青銅製品、また一部銀製品を対象として鉛同位体比測定を行った。資料点数は240点である。この結果、特にデータの集中する「A」と「B」の2つのグループを見出すことができた。グループAは、韓国出土資料中では良洞里、福泉洞、亀旨路の3遺跡から抽出された。数値の一致性がきわめて高く、日本で出土した「規格品の原料」と称される近畿式・三遠式銅鐸の鉛同位体比とよく一致していること、楽浪出土資料44点中8点の数値がこれと重なり、また28点がこの周辺の数値領域に分布していること、宮内庁所蔵資料からもこれと一致、もしくは近似した数値を示すものが検出されたことなど、韓国青銅器の原料産地や日韓の交流を考える上で注目すべきデータ群である。このグループに属する資料の年代はいずれも紀元前2〜紀元後4世紀の範囲内にある。グループBはAに比べて分布に多少広がりがあるが、測定を行った韓国出土青銅製品143点中43点、宮内庁所蔵資料34点中13点、歴博所蔵馬形帯鉤6点中5点と多くの資料がここに含まれており、この時期の韓国青銅製品の鉛原料の主要な産地の一つと推測できる。年代は4〜7世紀初と、Aよりも全体として新しい。原料産地の候補として、Aについては中国の鉱床がまずあげられる。またBについては、これまでの鉛同位体比研究の結果に従えば、中国の華中〜華南産原料の数値範囲内にあるため中国の鉱床の可能性が考えられるが、一方で、慶尚北道の漆谷鉱山の数値がこれと近接していることや、その周辺の地質状況などから、原料が朝鮮半島南部地域の鉱床からもたらされた可能性についても考慮する必要がある。
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Research Products
(6 results)