Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
久保 純子 早稲田大学, 教育学部, 教授 (90275967)
藤本 潔 南山大学, 総合政策学部, 教授 (50329752)
奥貫 圭一 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (90272369)
川瀬 久美子 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (40325353)
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Research Abstract |
昨年度に引き続いて日本における各種タイプの沖積低地および海外対象地域であるメコンデルタにおける地形・堆積物や微地形に関する基礎的なデータを収集した.また,それらの形成および地域的特色に関する基本的な情報を把握するとともに,対象地域の地形・堆積物の特性にかかわる予察的調査を行った. メコンデルタに関して海津・藤本・川瀬は,現地研究者のNguyen氏,Ta氏とともにメコンデルタ北部地域において現地調査をおこない,微地形と堆積物に関するデータを取得した.また,藤本は,メコンデルタ北東部カンザー地区において、後期完新世におけるマングローブ立地の動態を明らかにするための現地調査を行った。その結果、現在粘土層が堆積し、マングローブ立地としては最も内陸側に位置する地域の深度50-150cmに、Rhizophora林の存在を示すマングローブ泥炭の存在が確認され、その形成年代を明らかにすべく年代測定を実施中である。さらに,久保はカンボジア平原(プノンペン周辺)について空中写真の判読により微地形分布図を作成し、表層地質の調査を進め、微地形・表層地質との関係について検討した。 一方,海津は,完新世後期の濃尾平野における土砂堆積域の変遷について低地の地形・地質と遺跡の分布や遺物の検出状況をもとに検討し,a)4,300-3,000yr BPの間,遺跡は低地北東部に偏在しており,低地中央部や西部には認められない.b)3,000yr BP以降,遺跡の分布域は徐々に西側と南側に拡大した.c)2,200yr BP以降,遺跡は低地中央部や南部に立地したことを明らかにした.また,これらから,3,000yr BP以降土砂の堆積域が低地西部や南部に移動し,2,200yr BP以降土砂の堆積域がさらに低地の西や南側に移行したことを明らかにし,低地の地形形成が単純な一様なものではないことを指摘した.中村は,海岸地形や沖積平野の微地形の発達に関連する試料について,加速器質量分析(AMS)による高精度の14C年代値を提供するための基礎的研究を行うと共に,沖積平野の堆積物試料の年代測定を実施した.奥貫は,新しい空間分析のためのソフトウェア開発を進めた. なお,海津はタイ南部ソンクラー湖沿岸低地の微地形形成についても調査を進め,低地の形成過程と微地形の発達について検討を進めた.また,海津・川瀬はタイ南部のアンダマン海沿岸低地においても微地形調査を進め,微地形と津波災害に関する予察的調査もおこなった.
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