2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本における19世紀気象観測記録の収集とその歴史気候学的分析
Project/Area Number |
15300305
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
三上 岳彦 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (10114662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (80266353)
中野 智子 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (70295468)
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Keywords | 気象観測 / 気候変動 / 小氷期 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、19世紀気象観測記録の収集作業を行うとともに、収集された観測記録のデータベース化作業を実施した。さらに今年度は、歴史時代の気候復元結果との比較検証を行うために、日本全国の18世紀以降における毎日の日記天候記録のデータベース化作業も平衡して行った。これは、研究代表者らがこれまで全国から収集した1700年代以降の日記天候記録をPDFファイル化し、それらに基づく毎日の天候分布図を作成するためである。特に、長崎出島の商館長日記については、1800年〜1823年の天候・気象に関するすべての記述をデータベース化した。この日記は、長崎出島でオランダ人による気象観測記録の残存しない1820年以前についても、天候記録だけでなく一部気象観測記録が記載されているため大変貴重である。 長崎出島で気象観測が行われた19世紀前半は、15世紀以降300年間以上にわたって続いた小氷期の末期に相当しており、1850年代以降の温暖化期への移行過程が注目される。そこで、グローバルに寒冷であったと推定される1810年代から小氷期が終了する1850年代にかけての気温変動を、太陽活動や火山活動の変動と関連づけて分析した。その結果、年々の気温変動にはグローバルな地域差が認められるが、10年〜数十年スケールの変動は地球規模で起こることが明らかになった。特に、1810年代〜1830年代は太陽黒点数も極小期に相当し、日本でも1830年代には冷害・飢饉が頻発したことから、今後はこの年代の気候変動を重点的に分析する計画である。
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Research Products
(1 results)