2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本における19世紀気象観測記録の収集とその歴史気候学的分析
Project/Area Number |
15300305
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
三上 岳彦 首都大学東京, 都市環境学部, 教授 (10114662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (80266353)
中野 智子 首都大学東京, 都市環境学部, 助手 (70295468)
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Keywords | 気象観測 / 気候変動 / 小氷期 / 温暖化 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であるため、主にこれまで蓄積されてきた研究成果のまとめを行うとともに、それらを国内外の学術雑誌等に発表した。また、気象観測記録を補完する目的で、古日記等に記載された19世紀の天候記録の収集を行った。今年度の研究成果は以下の通りである。 (1)世界的な寒冷期としてしら得る「小氷期」の後半から現在の温暖化期への移行期に相当する1810年〜1860年の50年間を対象に、まず日本における気候変動の実態を今回データベース化された気象観測記録から明らかにする試みを行った。従来の代替資料を用いた気候復元研究から、日本では小氷期の終了による温暖化が特に19世紀前半から後半にかけて起こったと推定されているが、本研究によって得られた気象観測記録と比較検討した結果、1830年代の低温期から1850年代にかけて顕著な気温上昇が認められた。 (2)次に、上述した19世紀前半の低温期については、日本だけの現象ではなく、グローバルに寒冷な時期であったことが報告されているが、その原因に関して、太陽活動と火山活動との関連を中心に分析を行った。その結果、19世紀前半に太陽活動が低下していたこと、また世界的に火山活動が活発であったことがこの時期の低温化を引き起こしていた可能性の高いことが示唆された。 (3)上記の研究成果は、月刊「地球」(2005年9月発行)の特集「歴史時代の気候変動と自然災害」(三上岳彦編)、およびInternational Journal of Climatology(2006年3月発行)の論文"Recovery of nineteenth-century Tokyo/Osaka meteorological data in Japan"に発表した。
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Research Products
(4 results)