2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺跡と史料に残る歴史噴火の火山灰層位学的解明と古環境復元の研究
Project/Area Number |
15300309
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
杉原 重夫 明治大学, 文学部, 教授 (90061978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 孝昭 立正大学, 地球環境科学部, 助教授 (90080473)
吉村 武彦 明治大学, 文学部, 教授 (50011367)
小林 三郎 明治大学, 文学部, 教授 (90061928)
長岡 信治 長崎大学, 教育学部, 教授 (80244028)
森脇 広 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (70200459)
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Keywords | 遺跡と史料 / 歴史噴火 / 火山灰層位学 / 花粉分析 / 古環境復元 |
Research Abstract |
本研究は,遺跡と史料に残る歴史噴火について火山灰層位学的研究と古環境復元を行うものである.本年は北海道西南部,関東地方,九州中・北部,九州南部の各地域で,地形調査とボーリングによる試料採取を実施した.北海道南西部では,キモントウ沼および湧洞沼で湖底堆積物の採取を行った.いずれのコアについても,17世紀の噴火で噴出された有珠bテフラおよび樽前bテフラを確認することができた.関東地方では,東伊豆の伊東市池でボーリングを行い,約5000年前にさかのぼる湿地堆積物を採取した.ボーリングコアには伊豆大室山の噴出物をはじめ,伊豆諸島起源の火山灰が複数挟まれていた.九州中・北部では,九重火山周辺のテフラ層序および分布の野外調査,年代測定用のボーリング調査を行い,過去1万年間の噴火史についての基礎データを収集した.特に5000年前以降の活動については,正確な年代決定を試みている.九州南部では,鹿児島湾北岸の国分低地において,2本のボーリングオールコア採取を行った.掘削深度は60mと20mである.野外での暫定的なコア観察によると,桜島,鬼界カルデラ等の諸火山起源の軽石層,火山灰層が数枚認められ,低地環境の変遷と周辺台地に立地する遺跡との関係がこれらのテフラ編年によって明らかできる.各地のボーリングコアについては,検出された火山灰の鉱物組成と化学組成分析を行っている.微小テフラ粒子については,LA/ICP-MSでを分析する目的で,岩石標準試料,NISTガラス標準試料等を用いて,主成分元素から希土類元素をはじめとする微量元素までの分析の基礎実験を行い,泥炭質試料については,花粉分析用試料の採取と分析作業を行った.また,調査地域の遺跡・遺物と火山灰層位の調査,堆積物に含まれる歴史時代の火山噴出物については噴火に関する古文書の収集を行った.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 長岡信治, 中川英朗: "長崎県壱岐島,岳ノ辻火山の噴火史"長崎大学教育学部紀要,自然科学. 69号. 1-16 (2003)
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[Publications] Kurashige, Y., Hirakawa, K., Yamagata, K.: "Comparison between shear stress calculated from hydrological data and critical shear stress estimated from stratigraphy and grain-size distribution of river-bed and river-terrace deposit."Transaction, Japanese Geomolphological Union. 24-2. 183-203 (2003)
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[Publications] 森脇 広: "地形環境と歴史景観 鹿児島湾奥における縄文海進最盛期以降の沖積低地の地形変化と人間活動(日下雅義編)"古今書院. 246 (2004)