Research Abstract |
北太平洋亜寒帯海域およびベーリング海における基礎生産過程を研究する手法としてセジメント・トラップ実験を導入し,長期間にわたるこの研究の継続を通じて基礎生産過程の経年変動を引き起こす環境要因,特にアラスカンストリームなどの海洋物理的要因を解明し,近未来の海洋環境の変遷を予想することを本研究の最終目的とし,研究代表者および研究分担者の3名は,平成18年に北大水産学部所属練習船おしょろ丸の練習航海(6〜7月)に乗船し,以下の調査・研究を行った。 1.セジメント・トラップの回収と設置 定点の北部北太平洋(49°N, 174°W)において時系列式セジメント・トラップを回収し,再度設置した。また,前年設置を断念したベーリング海(53.5°N, 178°W)においては,再度時系列式セジメント・トラップを設置した。得られた沈降粒子中の炭素/窒素,炭酸カルシウム,生物起源オパール,アミノ酸組成および炭素/窒素安定同位体を定量し,全沈降粒子フラックスおよび化学成分組成を求めた。また,得られた沈降粒子は,顕微鏡による動・植物プランクトン種組成の解析のために用いられた。 2.アラスカンストリームおよび亜寒帯海流の流量モニター アリューシャン列島を囲むコの字型の閉鎖観測線を設け,CTDおよびXCTDを用いてアラスカンストリームおよび亜寒帯海流の流量および熱・塩分輸送量を解析した。 2005年7月〜2006年7月における結果から,2005年における全沈降粒子および有機物質フラックスの季節変動は秋期に高く,2006年春期におけるそれらのフラックスは,例年よりも高かった。これらの傾向は,2003年以前と異なるもので,表層水温や表面水温偏差の変動と密接に関係すると考えられた。
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