2005 Fiscal Year Annual Research Report
西部北太平洋亜寒帯域における二酸化炭素収支におよぼす生態系変動機構の解析
Project/Area Number |
15310014
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
服部 寛 北海道東海大学, 工学部, 教授 (60208543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 宏明 東北区水産研究所, 海洋環境部, 研究室長
津田 敦 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (80217314)
齋藤 誠一 北海道大学, 水産学部, 教授 (70250503)
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Keywords | 西部北太平洋亜寒帯海域 / 植物プランクトン / 種組成 / 固有色素 / HPLC / 走査型電子顕微鏡 / CHEMTAX |
Research Abstract |
北太平洋亜寒帯海域(親潮域)において定期的な観測を行い、海洋環境と植物プランクトン動態の関係を明らかにする目的で、本研究を行った。植物プランクトン現存量の把握には、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用い、種組成の観測には走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した。 植物プランクトン色素の現存量では、親潮域で優占していたのは、Fucoxanthin、19'-Butanoyloxyfucoxanthin、Chlorophyll bが主要色素であったが、常時高い組成で出現していたのはFucoxanthinであり、これを固有色素としてもつ珪藻が主要な植物プランクトン群集であった。CCHEMTAXによって推定された、各植物プランクトン群集の現存量においても7月末に珪藻よりも、19'-Butanoyloxy-fucoxanthinを固有に持つ黄金色藻が優占したものの、その他の季節では、珪藻が最も優占し、親潮域では珪藻が主要な植物プランクトン群集であった。一方、SEMによる植物プランクトン群集の現存量観察は、全研究期間を通じて、珪藻が70%以上を占めており、CHEMTAXによって推定した植物プランクトン群集の結果と同じであったが、5月から10月にかけての期間は、黄金色藻が優占しており、珪藻が主要な植物プランクトンとはいえないことが明らかとなった。黄金色藻では常にTriparma laevisが優占しており、この種の細胞サイズは1-2μmと珪藻に比べてかなり小型の種である。そのため、細胞サイズが約10-50μm以上はある珪藻に比べて、量的な観察となる色素濃度の増加にはあまり反映されず、細胞の計数が海洋環境と植物プランクトン動態の解明には、重要なことがわかった。今後は栄養塩、水温、塩分等の海洋環境と植物プランクトンの季節変化の対応関係を明らかにし、親潮域の炭素の動態について定量的なモデルの構築を試みる。
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Research Products
(9 results)