2003 Fiscal Year Annual Research Report
排水からの微量有害元素(Se,Sb,As,B)アニオンの濃縮・除去の新基盤技術
Project/Area Number |
15310045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅津 良昭 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10005423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀田 知人 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (60333895)
岡部 徹 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00280884)
西村 忠久 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (60006054)
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Keywords | セレン / 共沈 / 還元沈殿 / ホウ素 / Mg-Al酸化物 / アニオン吸収 |
Research Abstract |
1.排水からのセレンイオン種の除去に関する研究 本研究は、セレンイオン種を排水から除去するためのプロセスの開発に必要な基礎的なデータを系統的に得ることを目的としている。セレンについては、水溶液中で二つの酸化状態(Se(IV)およびSe(VI))のイオン種が安定であり、その化学的挙動が大きく異なる。従って、排水基準(0.1mg/L)以下の濃度まで除去するためには、それぞれのイオン種の特性に応じた化学反応に基づくプロセスが必要である。 水溶液からのセレンの除去では、水酸化第二鉄との共沈および還元沈殿によってSeO_3^<2->は十分に低い濃度まで除去できたが、6価のセレンのイオン種SeO_4^<2->は通常の排水処理の条件下では除去しにくかった。これに対して、弱塩基性ポリアミン型樹脂への吸収による処理プロセスでは、酸化状態が高いSe(VI)がSe(IV)よりも効率よく除去され、難溶性の塩の生成においてもSe(VI)が優れた除去効果を示すことがあることを観察した。また、M-Se-H_2O(M=Ba, Ca, Fe)系の相平衡図を決定、Seを含む新しい化合物の存在も確認、Seの除去について考慮すべき化合物を決定した。得られた結果に基づいて、共沈、難溶性塩の生成によるSeの除去プロセスを提案した。 2.排水からのホウ素の除去に関する研究 近年、ホウ素は「人の健康の保護に関する環境基準」の項目に追加された。ホウ素の処理技術として、凝集沈殿法、イオン交換処理法、溶媒抽出法などがあるが、その実用化例は少なく、開発・改良が急がれている。一方、Mg-Al系層状複水酸化物(Mg-Al LDH)は、アニオン交換能を有する層状無機化合物として知られている。Mg-Al LDHを450〜800℃で仮焼して得られるMg-Al酸化物は、水溶液中で種々のアニオンを吸収して元のLDH構造を再構築する機能がある。この反応の際、Mg-Al酸化物は水溶液中にOH^-を放出する特徴がある。Mg-Al酸化物の機能・特徴を利用して、水溶液からのホウ素の除去を試みた。 100mg/Lのホウ素溶液に、Mg-Al酸化物によるホウ素除去理論量に対して等量の酸化物を投入した場合には、3時間で50%程度のホウ素しか除去できなかったが、5.0倍モル量加えた場合、1時間で3mg/L程度まで除去できた。Mg-Al酸化物の投入によりpHは5.2から10まで上昇した。そのため、ホウ素は、中性溶液での安定なH_3BO_3からH_2BO_3^-に変化し、Mg-Al酸化物に吸収・除去されたものと考えられる。また、低濃度のホウ素溶液に対しても、Mg-Al酸化物は高いホウ素除去能を示した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] R.Hata, T.Nishimura, Y.Umetsu: "Solubility and stability regions of barium selenites and barium selenates in aqueous solution at 25℃"Canadian Metallurgical Quarterly. Vol.43,no.1. 57-66 (2004)