Research Abstract |
平成17年冬季にワカメの種をつけたロープを尼崎の3つのプラントの床に設置し,(1)水質調査,(2)成長過程,(3)生物相について比較検討を行った. (1)水質 ワカメの成長に最も影響の与える光量子束密度は,プラントA(DL-0.5m),プラントB(DL-1.0m),プラントC(DL-1.5m)の順に,115,110,87μmol/m2/secであり,水深が大きくなるにしたがって,その値は小さくなり,海藻の成長のための条件は悪化していた. (2)成長過程 2004年12月設置時のワカメの藻長は7.6±3.6cmであった.2005年3月2日回収時にはプラントAでは58.6±31.6cm,プラントBでは60.0±37.4cm,プラントCでは50.0±27.3cmとそれぞれ成長していた.各プラントでのワカメの大きさを比較すると,プラントB,A,Cの順となっていた.プラントCで成長が悪かったのは,光条件が悪いためであるが,プラントAでは水深が浅く,波の影響を受けやすかったことがやや成長が悪かった原因と思われる. (3)生物相 直立の壁面では,イソカイメン属,ウスカラシオツガイ,オウキムシロ科,カタユウレイボヤなど懸濁物を食する生物が優占していたが,ワカメの葉上では肉食生物のイボニシ,堆積物食生物のフトメリタヨコエビ,カマキリヨコエビ,クビナガワレカラなど多様な藻場に出現する生物が認められた.またワカメの乾燥重量と葉上動物の湿重量の間には正の相関が見られた. 以上のことから,藻場が消滅した大阪湾の湾奥であっても適当な浅場を設けるとワカメは生育し,そこに藻場特有の生物相が形成されることがわかった.
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