2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15310069
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
生駒 忠昭 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (10212804)
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Keywords | 光導電性高分子 / 電子スピン分極 / 磁場効果 / キャリア生成 / 時間分解ESR / 過渡光電流 / 有機ナノ構造体 / 電子正孔対 |
Research Abstract |
長距離正孔移動が提案された最初の実験的な根拠は、電荷散逸収率に対する電場効果であった。一方、磁場効果実験は段階的正孔移動を指示した。なぜ、実験方法の違いによって異なる結果が導き出されたのかを明らかにする目的で、電荷散逸収率に対する電場効果および散逸収率の磁場効果に対する外部電場依存性を測定した。電荷散逸収率の電場に対し指数関数的な変化を示した。これは、従来まで行われてきたオンサガー理論を用いた方法で解析できた。フィッテイングから求められた電子正孔間距離は、2nm程度であり、遠距離対の存在を確認することができた。また、外部磁場を印加した状態でもオンサガー解析は成り立ち、電子正孔間の分離距離はゼロ磁場中と等しい2nmであった。このことは、電場効果は磁場の有無に関係ないことを示している。また、電荷散逸収率の磁場効果も電場に依存しないことが分かった。以上の結果は、ジェミネート電子正孔対に対する電場効果と磁場効果の加成性が成り立つことを表しており、相乗効果が無いことを示している。外場効果の加成性は、電場が作用する電子正孔対の分離距離は磁場が影響を与える電子正孔対と異なることを示唆するものである。電場は比較的長距離のジェミネート対にそして磁場が比較的近距離のジェミネート対の動力学に影響を与えていることが分かった。近距離のジェミネート対に対する磁場効果は、スピンを利用した導電性制御の有利性を示唆するものであり、種々のドーパントを用いてスピン分極で増感する光導電性有機ナノ構造体を探索中である。
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Research Products
(6 results)