Research Abstract |
高温・高密度カーボン成長場での多面体グラファイト(直径100から1000nm)形成に関して,高圧(0.9MPa)のN_2またはCF_4ガス中でのレーザー蒸発の実験から,窒素またはフッ素原子を,それぞれ,3%または1%含有する多面体グラファイトを形成できることを見出した。特に,フッ素原子を含有する場合には,多面体グラファイトの表面にしわ状の構造が生じた。X線回折パターンはArガス中で形成した多面体グラファイトと同様であり,内部の多面体構造は維持されていることを示す。グラファイト化の温度や化学結合の熱安定性を考慮すると,窒素またはフッ素原子と炭素原子との結合形成は多面体グラファイトの表面付近で起こっていると考えた。 この多面体グラファイトの形成に関しては,ケイ素原子がわずかに(1原子量%)存在すると,形成が著しく促進されることもわかった。0.3MPaの低いArガス圧条件でも50%程度の収率で多面体グラファイトが生成した。さらに,高ガス圧中では,粒子の外側のみにグラファイト層の存在するバルーン状構造の大きな粒子が生成することもわかった。多面体形成過程とは異なり,従来のアモルファス粒子の熱アニーリングなどと同様に,粒子の形成後,外側からグラファイト層が形成されると考えた。 金属混合系での研究では,カーボンナノホーン粒子と金属または炭化物を含有するカーボンナノカプセルの複合体が,70%の収率で形成できた。グラファイトに10種類の金属を混合させたターゲットを用いて,レーザー照射を行った。生成物の微細構造および収率の比較を行った結果,それぞれの金属でのカーボンの溶融しやすさや化合物を形成する傾向などに依存して,カーボンナノホーン粒子複合体の他,カーボンナノチューブ,炭化物ワイヤー,金属内包多面体等が生成した。カーボンナノホーン粒子複合体は,熱エネルギーによる多くのナノホーンの形成,ナノホーンのカーボンと金属の固溶体粒子の周りへの凝集,固溶体粒子からの金属の触媒作用によるグラファイト層の過飽和析出(カーボンナノカプセル形成)によって形成されると考えた。
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