2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール分子磁性体におけるメゾスコピック量子トンネル現象の研究
Project/Area Number |
15310073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 覚 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40135489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 精二 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10143372)
小山田 明 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (60211835)
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Keywords | ナノスケール / ナノサイズ / メゾスコピック / 分子磁性体 / 核磁気共鳴 / トンネル現象 / スピン / 量子 |
Research Abstract |
○単結晶Fe8の磁気容易軸に垂直に外部磁場をかけ、120mKにおいて1H核スピン磁化を飽和させた後、磁場掃引を行い、NMRスペクトルの変化を系統的に調べた。2〜3Tの磁場を通過、または待機するとスペクトル強度が増大し、この磁場域で核スピン緩和率が増大することを見いだした。これはトンネリング周波数とラーモア周波数が一致することにより核スピン緩和が速くなることを示しており、さらに掃引速度依存性を測定し、トンネリング機構との関係を調べた。 ○イスラエルTechnionのKeren教授とのFe8のミュオンスピン共鳴(μSR)の共同実験により、ミューオンスピン回転と磁場掃引を用いてFe8分子を6つの異なる磁気状態に離散的に記憶させることが出来、多ビット磁気メモリのモデルとして使えることを示した。また、この方法で薄膜における磁気量子トンネルの観測が出来ることを示した。 ○量子トンネル現象が起こる可能性のある新しい分子磁性体としてスピン1/2のラディカルスピンとスピン5/2のMn2+イオンが交互に円環状に並んだフェリリング分子磁性体Mn6R6を合成し、2〜300Kにおける磁化率の測定を行い、高温域では各スピンが独立な常磁性状態を示すが、低温域では合成スピンS=12の超常磁性を示すことを明らかにした。また1.4〜300Kの温度域での1H-NMR実験により、核スピン緩和率の温度、磁場依存性を測定し、離散的エネルギー準位と粉末測定緩和率との関係を明らかにした。 ○反強磁性リング分子磁性体Fe10のNMRスペクトルと核スピン緩和率1/T1、1/T2の温度、磁場依存性について理論的解析を行い、交換相互作用と単イオン異方性により決まる離散的低エネルギー準位とスピンダイナミックスについて明らかにした。
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Research Products
(3 results)