2005 Fiscal Year Annual Research Report
走査型アトムプローブによる高機能電子材料の原子レベルの解析
Project/Area Number |
15310077
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Research Institution | KANAZAWA INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
谷口 昌宏 金沢工業大学, 環境・建築学部, 助教授 (30250418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 治 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (10108235)
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Keywords | 走査型アトムプローブ / 酸化チタン / クリスタルヴァイオレット / テトラブチルアンモニウム / ポリチオフェン / 光励起触媒 / 分子内の結合状態 / フラグメントイオン |
Research Abstract |
平成15年度と16年度では、炭素材料やシリコンの分析が主であったが、平成17年度では、高分子であるポリチオフェンの理論解析を進めると共に、有機分子であるクリスタルヴァイオレット(CV)やテトラブチルアンモニウム(TBA)が酸化チタンの(TiO_2)光触媒作用によりどのように分解するのかを走査型アトムプローブ(SAP)の特性を生かして調べ、他の手法では得られない興味ある結果を得た。 ポリチオフェンを電界蒸発させると複数原子からなる特定のクラスターイオンとして蒸発するが、検出されるクラスターイオンがポリチオフェン内部の原子間の結合状態と密接な関連がある事を理論的に解明するために、カナダのDalhousie大学のKreuzer教授の協力を得た。その結果、絶縁性のポリマー内部の電荷が印加電界により移動するが、移動電荷量の大きい結合、つまり結合力の弱い結合が切れて電界蒸発する事が明らかにされた。 TiO_2の光触媒効果を調べるために、TiO_2のナノシートを作製した。試料は、タングステンの下地の上にTiO_2層を形成し、その上にCVを付着させた。TiO_2層が無く、CVを直接タングステンの上に付着させた場合は、分解したCVのフラグメントイオンが多数検出されたが、分解しないCV分子も認められた。しかし、TiO_2層の上のCVは全ての分子が分解した。タングステン下地の上でCVが分解したのは、分析に際してYAGレーザー光の2倍波を照射したが、この波長がCVの吸収波長に近いからと考えられる。何れにしても、TiO_2の光触媒効果は紫外線領域で認めれるのか通説であるが、可視光でも起こり得る事が実証された。 これに対して、TBAでは、吸収波が無いので、下地タングステン上での分解は少数の分子に止まった。 今ひとつ興味ある点は、解離に際して、二重結合は安定であり、単一の窒素原子が解離して検出されない事である。 以上の結果は、SAPによる有機材料の分析が原子間の結合の解明に新たな視点をもたらすものである事を示しており、今後は、より多様な有機分子を分析すると共に生体分子の貝瀬に進める事を計画している。
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Research Products
(4 results)