2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル分子の集積化によるナノ棒磁石の構築とその配列制御
Project/Area Number |
15310094
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉岡 直樹 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30222392)
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Keywords | 分子強磁性体 / 安定有機ラジカル / 水素結合 / 強磁性 / 構造-磁性相関 / 積層カラム構造 / 低次元磁性 / ニトロキシラジカル |
Research Abstract |
平成17年度においては、水素結合連鎖間の配列様式が制御可能なラジカル誘導体の合成研究、構造-磁性相関を研究目的とした。具体的には、分岐水素結合により集積したナノ棒磁石どうしの配列様式を合成化学的に制御するために、ベンゾイミダゾールまたはインドール環の5-位または6-位にハロゲン原子(F、Cl、Br)を導入した誘導体を合成した。 結晶構造解析の結果、ベンゾイミダゾール誘導体は、母体と同様の積層カラム構造を形成した。SQUID磁気測定の結果、ラジカル分子間に強磁性的な相互作用が存在することがわかった。F体では導入位置に乱れが観測されたが、Cl、Br体では、6位に導入されていた。Cl、Br体では、ハロゲン原子を介して積層カラム間に弱い反強磁性的相互作用が観測されました。 5位にCl、Br原子を導入したインドール誘導体では、2量体を形成するものの積層連続体は形成されなかった。一方、6位に導入した誘導体では、ベンゾイミダゾール体と同様に積層カラムの形成が確認され、低温で2次元的な強磁性スピン整列が観測された。これに積層カラム間の弱い反強磁性カップリングが加わり、メタ磁性体としての挙動することを明らかにした。 以上より、ベンゾイミダゾール環およびインドール環の6位にハロゲン原子を導入すると、積層カラム環の磁気的相互作用が促進されるというナノ棒磁石のスピン整列に関する新たな知見を合成化学的に明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)