2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物薄膜のナノ爆発による金属ナノ微粒子3次元配列構造作製と特性解析
Project/Area Number |
15310108
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中野 隆志 独立行政法人産業技術総合研究所, 近接場光応用工学研究センター, 研究チーム長 (90254432)
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Keywords | フォトニック結晶 / 光ディスク / スーパーレンズ / 金属酸化物 / 相変化材料 / 近接場光学 / 局在プラズモン / 構造性複屈折 |
Research Abstract |
本研究では、金属酸化物を含む多層膜構造にレーザー光を照射したときに生じるナノ爆発を微細加工方法として応用し、金属ナノ微粒子の3次元配列構造の高速度作製方法を確立し、本構造を利用した複合光学素子の実現を図ることを最終目的としている。 本年度は、酸化白金層と相変化膜の多層膜構造(super-RENS構造)をサンプルに用い、集束レーザー光照射によるナノ爆発で形成される空洞ピットのサイズ等とレーザー光の焦点位置の関係について、サンプルの断面TEM写真を基に解析した。その結果、サンプルが6m/sの速度で移動する条件で、150nmのピットまで形成できることを確認した(レーザー光の変調:20MHz、レーザー光強度:+十数mW)。また、この時金属微粒子はさらに小さな径でピット内に分散していることがわかった。このピット形成には酸化白金層の到達温度の制御が重要であり、低すぎると爆発せず、高すぎると設計値以上のゼットが形成してしまう。また、多層膜に垂直な方向での温度分布は、入射レーザー光の強度分布よりも狭く、フォーカスを数百nm以内で制御する必要があることがわかった。この結果は、多層膜構造を設計することで、容易に3次元構造体を1つのレーザー系の焦点位置の調整で行えることを示している。 形成できるピットサイズ等の条件を基に、本科研費によって導入した光デバイス解析装置を用いて、ガラス基板上に製膜した多層膜構造で得られる光学素子の設計を行った。ZnS-SiO2膜中に空洞ピット(270nm)を300nm間隔で形成することで、波長800nm付近の光に対するフォトニック結晶が形成でき、一部のピットを取り除くことで、T字導波路等を作り出せることを確かめた。また、ナノ金属微粒子が分散しているピット列を並べた2次元構造で、近赤外域のワイヤーグリッド偏光子と同等の反射型の偏光素子が設計できることを確認した。
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