2004 Fiscal Year Annual Research Report
高温火山ガスから発生するSPMの観測と発生メカニズム
Project/Area Number |
15310126
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大場 武 東京工業大学, 火山流体研究センター, 助教授 (60203915)
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Keywords | エーロゾル / 火山ガス / SO2 / 硫酸 / 硫黄同位体比 / 同位体分別 / 火山活動 / 火山観測 |
Research Abstract |
高温の火山ガスから発生するエーロゾルの研究は,火山周辺に居住する人々の健康に対する影響,火山から放出される硫黄成分の流量の見積もりに対する影響,の2点において重要である.本年度では高温の火山ガスから発生する硫酸エーロゾルの発生率,気相SO2と硫酸エーロゾル間の硫黄同位体比分別をさまざまなエーロゾル発生条件において実験的に検証すること,大気中に滞留するSO2の硫黄同位体比を正確に測定する技術の確立を目的とした. SO2が硫酸エーロゾルに転換するさいに,何らかの同位体分別が起きると予測される.硫酸エーロゾルが発生する以前の火山ガスに含まれるSO2の硫黄同位体比,硫酸エーロゾルが発生した後のSO2の硫黄同位体比,SO2と硫酸エーロゾルの間の同位体比分別,の3点が明らかになれば,マスバランスの関係から,硫酸エーロゾルの発生率を推定することが可能となる.硫酸エーロゾルが発生した後のSO2の硫黄同位体比を実際の火山で観測する手段として,KOH水溶液を大気中に開放して滞留SO2ガスを吸収する静置法がある.これまではSO2の同位体比は変化せずにKOH水溶液に吸収されると思われていたが,吸収の過程で硫黄同位体分別が発生することが実験的に確かめられた.これにより大気に滞留するSO2の硫黄同位体比を正確に評価することが可能となった.硫酸エーロゾルの発生の際の同位体比分別については,人工的にエーロゾルを発生する装置を設計し実験的に検証することとした.実験では液体の水を加熱,水蒸気化し,それにSO2ガスを混入して大気に放出したが,加熱段階に若干の問題点が残り,装置の改良を重ねている.来年度以降の研究で同位体比分別が実際に明らかになると期待される.
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