2004 Fiscal Year Annual Research Report
白山における甚の助谷巨大地すべり突発災害の前兆現象および運動予測
Project/Area Number |
15310127
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
汪 発武 京都大学, 防災研究所, 助手 (10324097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 樹典 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (10143877)
宮島 昌克 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (70143881)
桝谷 浩 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20157217)
蔡 飛 群馬大学, 工学部, 助手 (20312902)
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 助手 (50372553)
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Keywords | 地すべり / 斜面崩壊 / 地下水浸透 / 運動シミュレーション / 運動機構 / 変形解析 / 地質構造 / 安定評価 |
Research Abstract |
甚の助谷地すべりは石川県と岐阜県の境界に位置しており、手取川の源頭ともなっている。1934年に大雨による斜面崩壊が土石流に発展し、その土石流が手取川に沿って、日本海まで約70キロメートルを流下した。それによって、手取川流域に甚大な災害を及ぼした。平成16年にも、甚の助谷地すべりの右側の斜面で三日間を渡る集中降雨によって、土石流が発生した。この土石流が2キロメートルを流下し、下流の工事用道路と観光用道路を破壊させた。 甚の助谷地すべりの特徴としては、全体的には年間80mm〜170mmの速度で活発に変位していると共に、両側の斜面が構造的に緩めているため、降雨および融雪によって、突発性な崩壊がおこすことである。斜面全体に渡る変形計測によると、斜面変位は地下水位がある臨界地下水位を越えた場合、斜面変位が活発になっている傾向が示されている。そして、平成16年に発生した土石流災害を調査した結果としては、崩壊の源頭部からは地下水の集中的な補給は崩壊の原因になっていると考えられる。 平成15年度では、現地調査、変形観察データ、及び土質試験結果に基づいて、当地すべりの運動様式を解明するための数値解析を行った。風化による砂岩・頁岩の変形特性の劣化を想定して解析を行った結果、観測データとほぼ一致している変形傾向が見られた。今年度においては、リングせん断試験を行って、地下水変動による斜面変位の再現試験を行った。そして、大規模地すべりが発生した場合を想定した運動予測に関して、まず基礎となる地すべり運動範囲予測プログラムの開発・改良を行ない、その妥当性を検証した。1934年に発生した別当崩れ及び平成16年度に発生した土石流災害に対する逆算から求めた運動中の力学パラメータを甚の助谷地すべりに適用し、運動範囲予測を行った結果、地すべり土塊は下流に建設された手取川ダム貯水池に突入することとなり、十分な警戒が必要であることを示唆した。
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Research Products
(7 results)