Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 正士 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80023688)
奥平 敬元 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (20295679)
相川 信之 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20047327)
嶋本 利彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20112170)
根本 泰雄 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30301427)
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Research Abstract |
ガウジをせん断させた場合,変形に伴って電気分極するという変わった性質(Shear-Induced Polarization)があることが分かった.手の平サイズのガウジブロックに電極を配置して,偏荷重を加えて変形させる実験を行った.わずかの距離で,数10ミリボルトの電位が発生することが分かった.この現象は,これまでほとんど知られておらず,ミクロには流動電位の一種と見られるが、細粒物質合体のせん断変形に伴う特有の電気特性であることから,この現象をSIP(Shear-Induced Polarization)と呼ぶことを提案した.これまでの予備的な実験によれば,発生する電圧は,ひずみの大きさ,細粒分含有率,間隙水の電解質濃度,圧密の程度に大きく依存することが明らかとなっている.粘土のような水で飽和した細粒物質では透水性が非常に低いため,高速の変形は非排水状態で行われ,純粋せん断に近いものとなるが,ミクロには変形により間隙水が移動する.この時水に含まれるイオンの流れは電流となり,結果的に電気的分極が発現する.しかし,非双極性の間隙流体を含むような工作用の油粘土などでは,このような現象はみられない。 粒子間に働くクーロン力の大きさは水溶液の電解質濃度に依存することから,粒子間の相対位置は電解質の影響を大きく受ける.したがって,端・面で近接している粘土粒子は,配向しているとみられる吸着水層を通して互いに結合することになる.そして粒子間の相対位置は,粒子水-電解質系の電気化学的平衡状態によって決定されるとみられる.したがって,封圧下に置かれた粘土は圧密によって互いの粒子間距離が短くなって行くが,この時もとの電気化学的バランスが崩れ,再び新しい平衡状態へと移行する.粒子間の接近によって,その強度や変形抵抗が増加することになる.しかしながら,せん断によって塑性変形が強いられると,粒子自身の変形に比べて,粒子間のすべりによる相対変位が大きくなることから,それぞれの粒子間の配置は,おもに間隙水を通した粒子間で変化する.この時,やはり粒子表面付近の吸着水層を主体とした,電荷のトータルバランスが崩れ,電気的偏位が発現すると考えられる.
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