Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相川 信之 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20047327)
早川 正士 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80023688)
嶋本 利彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20112170)
竹内 章 富山大学, 理学部, 教授 (20126494)
千木良 雅弘 京都大学, 防災研究所, 教授 (00293960)
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Research Abstract |
この研究では,種々の母岩からなるガウジについて,大量の試料採取,鉱物組成解析,粒度分析,三軸圧縮試験ならびに電気的特性の把握などを行った.これまでに得られた重要な知見は,ガウジ中の石英に明らかに大きな塑性ひずみが検出され,断層直近の母岩(花高岩)中の石英より有意に大きいことと,同様のイライト鉱物の組成ひずみが熱水起源のイライトに比べて有意に大きいことから,ガウジは地表付近の低拘束圧に由来する小さな強度域で生成されたものではなく,震源域付近で生成されたと結論された.さらに重要な知見として,ガウジには,せん断変形時に電気的分極(SIP : Shear-Induced Polarization)が発現するという特性があることを,この研究によって初めて明らかにした.採取した試料を一辺が数センチの直方体に成形し,単純せん断変形を加えると,変形量に応じた電圧が生じることが明らかとなった.このような現象は純粋な粘土鉱物からなる粘土ではもちろん,堆積性の粘土など,種々の湿潤粘土片では明瞭に観察されるが,一般の工作用の粘土(油粘土)では全く観察されないことから,SIPの発生条件として,粘土粒子間にある間隙流体が水のような双極性液体でなければならないことが明白になった.さらに,圧密実験によって,供試体の2次圧密過程が分極の発現を大きく促進させていることから,SIP形成機構が粒子-水-電解質系における物理化学的な平衡化と深く関わっていることが明確になった.柳ケ瀬断層のガウジ試料の場合,ひずみの状態に応じて,100mv以上の電位差が現れていることが分かった.一方,野外への適用例として,高知県の怒田・八畝地すべり地区で観測された地すべりブロック境界での自然電位分布の経時変化では,地すべりの両ブロックの電位差が50mv程度であったものが4ヶ月後には200mv程度以上になった.現在,跡津川断層帯のSIPと自然電位の関係を調べている.
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