2003 Fiscal Year Annual Research Report
高性能RFHR・2D・PAGEによる一細胞一分子プロテオーム解析
Project/Area Number |
15310142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
和田 明 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (80025387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
境 晶子 大阪医科大学, 医学部, 助手 (30225750)
吉田 秀司 大阪医科大学, 医学部, 助手 (60288735)
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Keywords | 二次元電気泳動法 / RFHR法 / O'Farrell法 / 等電点法 / プロテオーム解析 / 蛋白質 / 大腸菌 / 定常期 |
Research Abstract |
1.RFHR法とO'Farrell法の比較 われわれが主張してきたように、O'Farrell法では蛋白質のスポットが人為的に分裂する。これはO'Farrell法にとって極めて深刻な弱点であるが、これまでにその原因と実態について、われわれを含む4つの研究グループによって解明が進められた。先ずBervenらと他の二つのグループはスポットの分裂の原因が等電点法の泳動中に蛋白質が複数のコンフォメーションに分かれ、それぞれが異なった等電点をもつことにあることを明らかにした。われわれはこのスポットの分裂の規模について、O'Farrell法で大腸菌のプロテオーム解析を進めるグループSWISS・2D・PAGEのデーターを統計学的に解析、推定した結果、ひとつの蛋白質が平均して10個から12個のスポットに分裂するはずであることを明らかにした。この分裂の規模はBervenらの実験結果とよく一致する。さらにRFHR法をO'Farrell法と比較した結果、RFHR法ではスポットの人為的分裂が全く起こらないことがわかった。この両法の比較はこの分裂がO'Farrell法の本質である等電点法そのものによって生み出されるartifactであることをつよく示唆している。 2.水没型RFHR装置の考案 冷却水中にゲルコンテナを水没させて効果的に温度制御できる「水没型RFHR装置」を考案した。4℃下で蛋白分子の拡散を抑制した結果、よりシャープなスポットパターンがとれるようになり、スポットが密集する弱酸性領域の詳細な解析が可能になった。 3.大腸菌全蛋白質のプロテオーム解析 水没型で定常期の蛋白質を分析し、現在までに約700個のスポットを検出、そのうち516個の蛋白遺伝子を同定した。これはChurchらのO'Farrell法による同定数223個の2倍をはるかに超えている。現在、定常期の分析をほぼ終えて、対数期の蛋白質に取り組んでおり、当面の遺伝子同定の目標を700個に置いている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Manabu Sato, Hideji Yoshida, Akira Wada, Yasufumi Kaneda et al.: "Ribosomal proteins S0 and S21 are involved in the stability of 18S rRNA in fission yeast, Schizosaccharomyces pombe"B.B.R.C.. 311-4. 942-947 (2003)
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[Publications] Hideji Yoshida, Hiroshi Yamamoto, Toshio Uchiumi, Akira Wada: "RMF inactivates ribosomes by covering the PTase center and entrance of peptide exit tunnel"Genes to Cells. 9-4. 271-278 (2004)
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[Publications] Nobuko Arisue, Hideji Yoshida, Akira Wada, Tetsuo Hashimoto...: "Comparative analysis of the ribosomal components of the hydrogenosome-containing protist, Trichomonas vaginalis"J.Mol.Evol.. in press. (2004)
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[Publications] Hiroyasu Shimizu, Akiko Sakai, Koichi Kono et al.: "Therapeutic effects of glucose infusion on monochloroacetic acid exposure in rats"Toxicol.Ind.Health. in press. (2004)
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[Publications] 和田 明, 吉田秀司, 牧 泰史, 前田真希, 和田千恵子: "ゲノミクス・プロテオミクスの新展開 〜生物情報の解析と応用〜"プロテオミクスの新しいツールとしてのRFHR二次元電気泳動法〜大腸菌への適用. 1282 (2004)
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[Publications] 和田 明: "生物工学ハンドブック"蛋白質の二次元電気泳動法. 850 (2004)