2004 Fiscal Year Annual Research Report
群集のプロセスを考慮した生態系管理の奄美大島における実践的試み
Project/Area Number |
15310160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90192484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 直 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50182019)
高槻 成紀 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (00124595)
服部 正策 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00164864)
山田 文雄 独立行政法人森林総合研究所, 鳥類生態研究室, 室長(研究職) (10353905)
関 伸一 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 研究員 (50343801)
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Keywords | 生態系管理 / 順応的管理 / 群集プロセス / 食物連鎖 / 外来種 / 奄美大島 / 生物多様性 / 生態系モデル |
Research Abstract |
東洋区の北端に位置し固有種が多数生息する奄美大島の亜熱帯照葉樹林に、外来種捕食者のマングースの生息分布域の中心付近に2つの主調査区と、マングースが異なる密度で生息あるいは生息していないと考えられる地域に7箇所の比較調査区を設け、外来種マングースおよびクマネズミを含む生物群集のプロセス記載と生態系モデルの構築を目標に、その重要なパラメータを推定するための生態調査を行った。2004年11月までは、各プロットにおいて、スダジイの結実動態、マングース・クマネズミ・アカヒゲ・イシカワガエル・大型地上俳徊性節足動物等の捕獲・採集・目視センサス・自動撮影・録音等、およびマングース・クマネズミの胃内容分析の調査を定期的に続けてきた。2004年12月から連続4ヶ月にわたり金作原プロットにおいて、500m四方に36個の生け捕り罠を常設し、補完する罠も加えてマングース除去実験を実施している。本報告作成時において、比較のためのマングース非除去の川内プロットと比較プロットにおける、多くの被食固有種の繁殖期にあたる3月のモニタリング、およびマングース・クマネズミの胃内容分析を実施している。 本調査期間のうち、2003年の秋は天然照葉樹林の優占種であるスダジイの堅果がやや豊作、2004年は凶作であった。2004年の春に、スダジイの堅果はほぼ全量の果皮が地上に残っていたが、その大部分がネズミ類等に捕食されていた。ネズミ類の生息していない加計呂麻島のプロットでは一部がゾウムシの捕食にあっていただけであった。2003〜4年冬にはクマネズミが森林内に多数出現したが、2004〜5年の冬にはクマネズミがほとんど出現せず、春になってから森林内に出現し始め、島内でのクマネズミの季節移動があり、森林動態に応じて変動することが示唆された。今後、外来種を含む群集プロセスの分析をすすめる。
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