2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境変動下における果実の結実フェノロジーと種子散布者の動態に関する広域研究
Project/Area Number |
15310162
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
上田 恵介 立教大学, 理学部, 教授 (00213348)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紙谷 智彦 新潟大学, 農学部, 教授 (40152855)
林田 光佑 山形大学, 農学部, 教授 (10208639)
小南 陽亮 静岡大学, 教育学部, 助教授 (30221980)
山口 恭弘 (独)農業・食品産業技術総合研究機構, 主任研究員 (70355535)
野間 直彦 滋賀県立大学, 環境科学部, 講師 (80305557)
|
Keywords | 種子散布 / 果実 / 果実食鳥 / 広域研究 / 共進化 / 渡り鳥 / フェノロジー / 適応 |
Research Abstract |
本研究では、変動する環境のもとで、種子散布者が森林生態系の多様性(資源としての)をいかにして維持しているかを中心テーマに、果実と鳥の動態を、全国にわたって種子散布研究者を動員し、広域的に調査研究を進め、森林多様性保全への貢献を果たすことを目的とした。この4年間における、私たちのチームの活躍で日本における種子散布研究は飛躍的に発展した。拠点研究機関がない研究テーマで、これだけ全国の幅広い研究者が参加したプロジェクトはなかった。こうした全国的な広い地域における同時調査のための複数の研究者による共同研究によって、この研究費申請期間の4年間に、日本列島に分布する主要樹種の果実のフェノロジーと、種子散布に関わる主要な鳥との動態との相互関係についての基礎的な情報を収集し、果実と鳥類の動態とその共進化シンドロームの様相を明らかにすることができた。 さらにこの4年間で、シンポジウム、ワークショップを通じて研究者相互の交流が深まり、2005年にはオーストラリアで開催された国際シンポに多くのメンバーが参加して研究を発表し、世界の研究者とディスカッションを行った。ここ数年で、種子散布に関する私たちのチームから30本以上の論文が発表された。たとえば2003年には日本鳥学会の英文誌Ornithological Science(vol.2:1-58)において、種子散布特集を企画し、この企画研究の分担者を中心に5つの論文を日本から世界に発信することができた。 国外では、これまでヨーロッパ地域及び北米地域で、温帯域を南北に縦断して渡りを行う鳥類の種子分散について、すぐれた研究が数多く行われてきたが、ユーラシア大陸東部のロシア、韓国、中国、日本を含む温帯域での系統だった研究はほとんど行われておらず、温帯域の果実食鳥研究の空白地帯となってきた。南北に長く、多くの渡り鳥が通過していく日本列島において、複数の研究者が共同してデータを収集した今回の研究で、アジア温帯域の果実の種子散布戦略についての総合的な知見が得られ、日本から世界の種子散布研究に大きな貢献を果たすことができた。
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] Dispersal of Canarium euphyllum (Burseraceae), a large-seeded tree species, in a moist evergreen forest in Thailand. 22 : 137-146.2006
Author(s)
Kitamura, S, Suzuki S, Yumoto, T, Poonswad, P, Chuailu P, Plongmai, K, Maruhashi, T, Noma, N., Suckasam, C.
-
Journal Title
Journal of Tropical Ecology
-
-