2004 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアにおけるイスラームと政治:多層的・比較的アプローチ
Project/Area Number |
15310163
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北川 誠一 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (50001813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松里 公孝 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (20240640)
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Keywords | 政治的イスラーム / イスラーム宗務庁 / タタルスタン / バシュコルトスタン / ヴォルガ・ウラル地方 / チェチェン / ダゲスタン / 北コーカサス |
Research Abstract |
自称2千万人に達するロシアのイスラーム教徒は、大きくヴォルガ・ウラル地方と北コーカサス地方の2地域に分かれるが、その信仰形態と組織、特に政治との関わり方は、かなり異なっている。1991年以降のチェチェン独立派指導者の経歴を、1991年から1994年まで(独立革命期)、1995年から1996年まで(第1次チェチェン戦争期)、1997年から1999年まで(戦間期)、1999年から2004年までに区分すると、(1)ソ連時代に学業を終え、一定の社会的経験を持つ集団から、(2)十分な社会的経験を享受する機会がなかった集団、(3)1990年以降に成人に達し、十分な教育を受けることができなかった集団へと移行していることが、明らかになった。この傾向は政治的イスラームの受容と平行するものになっている。チェチェンにおける政治的エリート層の経歴変化と、今年度実地調査を伴う研究で明らかになった旧ソ連の地方的政治エリートであった大統領側近グループの主導権によって大きな変化を回避したヴォルガ=ウラル地方のタタルスタンやバシコルトスタン、また北コーカサスにあっても既存の政治機構とイスラーム宗務庁が状況を把握しているダゲスタンなどで、ソ連時代の政治的・社会的・宗教的指導者が以前として指導力を保持し、その内部の変化が正常の世代交代の範囲内で行われる状況とは、大きな差異が認められる。この原因には、ドゥダイェフ大統領期意向の教育制度崩壊だけでなく、追放期(1944-1957年)における教育機会の喪失を指摘することが出来る。
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Research Products
(4 results)