2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15310168
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉田 芳史 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (90197567)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 裕 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (10144403)
河原 祐馬 岡山大学, 法学部, 教授 (50234109)
木村 幹 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (50253290)
横山 豪志 筑紫女学園大学, 文学部, 講師 (80320381)
左右田 直規 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (30345318)
|
Keywords | 民主化 / 多国籍 / 地域研究 / 政治学 / 政治的安定 / 選挙 |
Research Abstract |
政治の民主化と安定をめぐる問題について、韓国(担当・木村)、フィリピン(片山)、インドネシア(横山豪志)、マレーシア(左右田)、カンボジア(木之内)、タイ(玉田)、エストニア(河原)を具体例として研究を遂行した。 バルト諸国のエストニアでは、住民の3割を占めるロシア人の政治的権利を剥奪し、民主政治導入後に参政権を付与したことが民主化成功の鍵になっていた。東アジアの韓国では大統領をどう選ぶかが最大の焦点の1つであり、民主主義とナショナリズムという正統性を兼備した1980年代に民主化に成功した。 東南アジアのタイでは1990年代に民主政治の定着期を迎えると政治改革のために憲法の全面改正が行われた。その効果が現れて、政権は安定したものの、政治的自由の軽視が懸念されている。マレーシアでは有権者が政治的自由や選挙の公正さ(つまり民主政治)の不足よりも、首相への権力集中に関心を向け、指導者の交代で満足していたことが2004年総選挙で明らかになった。両国では権力の多元性増加の工夫が必要である。 フィリピンではアロヨが2004年大統領選挙で当選して正統性を認知された。アロヨが山積する問題を解決できるかどうかが民主政治安定の鍵になる。インドネシアの2004年総選挙を観察してみると、法治主義の軽視や政党の調整能力低下が民主化を妨げている。この両国はかつて独裁的な支配を経験したので、安易な政治安定策は反発を招きかねない。強い指導力を発揮できる指導者の登場が待たれるものの、かつての独裁政権への嫌悪感ゆえに容易ではない。 カンボジアでは国家財政の外国依存が民主化の動力である。与党人民党は民主政治の形骸を取り繕うにとどまり、さらなる民主化が必要である。 エストニアやタイの事例が示すように、民主化という大きな目的達成のためには、短期的には不条理な制度の導入もやむを得ないといえそうである。
|
Research Products
(6 results)