2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15310171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
諫早 勇一 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 教授 (80011378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 文昭 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (80228494)
松本 賢一 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 助教授 (00309072)
MELNIKOVA Irina 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 教授 (10288607)
石川 達夫 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (00212845)
三谷 惠子 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (10229726)
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Keywords | スラヴ / 多国籍 / 言語学 / 文化受容 / アヴァンギャルド / 亡命 / 民族主義 |
Research Abstract |
本年度は言語を中心に研究するグループと文化を中心にするグループとに分かれ、研究分担者それぞれのこれまでの研究を広げていく中で共通するものを見出そうと努めた。 まず、言語を中心とするグループでは、服部は近代ロシア語萌芽期(1600年ごろ)における時制・アスペクトを中心に研究し、三谷は南スラヴ語、ソルブ語を通時的に考察して、フィアラはプラーグ言語学派の理論をもとに日本語まで視野に収めながら、語順論を中心に研究を進めたが、その中で、時制・アスペクト・語順といった共通する課題も見えてきた。そこで互いに議論を深めながら、こうした要素からスラヴ諸語を体系的、統一的に見直す視点を模索中である。また、フィアラの研究の土台となっているプラーグ言語学派の仕事は、言語学だけに限らず、広く文化史全体にも適用可能である。今後はこの研究を手がかりに言語研究と文化研究の接点も探っていきたい。 次に、文化を中心とするグループでは、メーリニコワは1920-30年代のソ連映画を、大平はソ連・チェコスロヴァキアの映画とともにブックデザインを、楯岡は演劇を中心に研究を進めたが、ここではアヴァンギャルド芸術の国際性、民族性ということが焦点となった。アヴァンギャルド芸術は一面で普遍的、インターナショナルな要素を色濃く持ちながら、反面きわめてナショナルな要素を含んでいる。本年はロシアとチェコスロヴァキアを中心にこの相反する要素の相克を共通するテーマとしたが、石川も時代を広げた両国の文化史的交流について考察に加わった。 一方、松本、日野は東スラヴ(ロシア、ウクライナ)を中心に民族主義、ロマン主義について検討したが、諫早は亡命という大きな流れの中で、この東スラヴと西・南スラヴを思想的に結ぶものとしてユーラシア主義に着目し、19世紀と20世紀をつなぐ視座を模索した。
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Research Products
(19 results)
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[Publications] 諫早 勇一: "都市の見取り図 ナボコフのベルリン"言語文化. 第6巻第4号. 553-571 (2004)
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[Publications] Melnikova, Irina: "Japanese theme in the Soviet "defense films" in the 30's."Japanese Slavic and East European Studies. Vol.23. 57-81 (2003)
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[Publications] 松本 賢一: "ドストエフスキイにおける<братство>の概念について"言語文化. 第6巻第2号. 181-200 (2003)
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[Publications] 松本 賢一: "『冬に記す夏の印象』における個と全体の関係について"むうざ. 22号. 4-17 (2003)
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[Publications] 服部 文昭: "К вопросу о древнерусской системе прошедшего времени в живой речи XII в."Comparative & Contrastive Studies in Slavic Languages & Literatures. Japanese Contributions to the 13 International Congress of Slavists.. 57-67 (2003)
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[Publications] 三谷 惠子: "ロシア語動詞の「体」-ゲルマニストのための案内"Sprachwissenschaft Kyoto. No.2. 21-40 (2003)
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[Publications] 三谷 惠子: "Perfect u starocakavskom jeziku. Uporaba i gramaticko znacenje u srednjovjekovnim tekstovima."Comparative & Contrastive Studies in Slavic Languages & Literatures. Japanese Contributions to the 13 International Congress of Slavists.. 39-56 (2003)
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[Publications] 三谷 惠子: "中世スラヴ法文献の統語論的特徴-スラヴ語比較統語論のために"ロシア語ロシア文学研究. 35号. 11-18 (2003)
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[Publications] 三谷 惠子: "上ソルブ語の語彙目録(レキシコン)の変化と標準語形成の過程"西スラブ論集. 6号. (2004)
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[Publications] 石川 達夫: "マサリクとロシア"窓. 第124号. 12-17 (2003)
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[Publications] 楯岡 求美: "劇空間としてのサンクト・ペテルブルグ-目で見る都市散歩"しゃりばり. 12月号. 48-53 (2003)
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[Publications] 楯岡 求美: "メイエルホリドの演劇性-チェーホフ、コメディア・デラルテとの出会い"講座 文学 演劇とパフォーマンス(岩波書店). 5巻. 145-165 (2004)
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[Publications] 大平 陽一: "エイゼンシュテインの知的映画論の変容-知的モンタージュ・内的独白・感覚的思考-"ALBA. 2003年号. 121-143 (2003)
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[Publications] 大平 陽一: "スクリーンと観客"アゴラ. 第1号. 59-74 (2003)
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[Publications] Karel Fiala: "FSP as a Supposed Word Order Factor in Japanese."Proceedings of XVII International Congress of Linguists.. (2004)
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[Publications] カレル フィアラ: "係り結びの成立論-FSP理論の立場から On the Rise of the "Kakari Musubi" Phenomenon."A Bridge of Dreams. Toronto-Ashiya-Praha. A Memorial Book on Dr. A.V.Liman's 70th Birthday.. (2004)
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[Publications] ブライアン・ボイド(諫早勇一訳): "ナボコフ伝 ロシア時代 上下"みすず書房. 728 (2003)
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[Publications] 三谷 惠子: "ソルブ語辞典"大学書林. 747 (2003)
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[Publications] 石川 達夫: "プラハ歴史散策-黄金の劇場都市"講談社. 221 (2004)