2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本における「うた」の総合的研究 そのフュージョンとアイデンティティーをめぐって
Project/Area Number |
15320020
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 良明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00126278)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 鉄男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50203360)
木村 秀雄 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10153206)
松岡 心平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70173812)
DEVOS Patrick 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00242032)
長木 誠司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50292842)
|
Keywords | 日本 / 大衆文化 / ポピュラー音楽 / パフォーマンス / 文化融合 |
Research Abstract |
本研究は、日本の近現代における「うた」について、その固有性を問いつめるのではなく、グローバルな視座に立ったシステム論的な見地から、その混成的な「アイデンティティー」およびその変容を扱ってきた。結果的に「近代ヨーロッパのクラシック音楽の浮上が地球の音楽にもたらしたインパクト」および、「クラシック的様式が切り捨てた種類の音楽の逆流」というふたつの力の相克の過程を記述する方向をとることになった。 ヨーロッパ「下層民」およびアフリカ系住民の音楽が融合してできた米国の「ルーツ音楽」が、いかにしてロックンロールへと商業化され、それが世界に伝播したかに関しての調査結果は、一般向けの図書『ビートルズとは何だったのか』で包括的に記述された。「ビートルズ」が代表する混交様式が、さらに日本の伝統とからまりあって70年代歌謡曲の代表的様式を形成するありさまは、本研究の成果として2006年に別途出版される予定である。 本研究は複数のフロンティアをゆるく結び合わせるものだが、そのうち近代日本の歌唱のルーツに関する研究は、ドイツに一年間滞在した長木助教授によって深められ、成果の公表が待たれる。近代日本のうたを、それ以前の日本の俗謡およびエリート音楽との連続/不連続という視点から分析し、過去数百年「日本の」うたとして持続してきた要素を洗い出す作業は、今後の課題として残った。 なお本年は、クラシック音楽の成立過程について、名古屋リュート研究会と交流を行い、また三共徹氏・ピーター・バラカン氏を招いて、シンポジウム「ポピュラー音楽へのアプローチ」を主催するなど、外部研究者との交流も活発に行った。「歌謡曲・ポピュラー音楽デジタル・アーカイブ」は、さらなる充実を図るとともに、著作権のない古い音源を峻別し、研究教育用に役立てる作業を進めた。
|
Research Products
(3 results)