2006 Fiscal Year Annual Research Report
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15320025
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Research Institution | Tokyo National Museum, Independent Administrative Institution National Museum |
Principal Investigator |
金子 啓明 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 副館長 (90110098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 光晴 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 事業部情報課, 課長 (10151713)
浅見 龍介 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 事業企画課出版企画室, 室長 (30270416)
能城 修一 独立行政法人森林総合研究所, 樹種識別担当チーム, チーム長 (30343792)
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Keywords | 一木彫の成立 / 栢木 / 神木 / 霊木 / 特別展「仏像」 / 樹種分析 / 見得寺の薬師如来坐像 / 明王寺の観音菩薩立像 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度に当たり、これまでの調査研究の総括を行なった。その結果、一木彫の成立には栢木の認識のみならず、神の依り代としての木そのものを信仰の対象とする日本古来の文化的土壌が重要な意味をもっていたこと、そこに一木彫成立以後、日本の仏像がほとんど木で造られるようになる文化的背景があったこと、さらに栢木の概念の中に神木や霊木が含まれることによって日本の木彫像の樹種が多様化していったことなどを推論するに至った。また、本年は新潟県立近代美術館、山梨県立博物館、名古屋市博物館、福岡市博物館等の各所で仏像に関する展覧会が開催され、本研究と関連する一木彫像が多数出品されたが、それらの観覧を通して、地方造像の一木彫像に関する新たな情報を多数収集することができた。 本研究は平成11年度から14年度にかけて実施された同テーマの調査研究(科学研究費補助金)を継承して行なわれたが、これまでの研究成果を幅広く国民に還元することを目的として、関連作品を一堂に会した展覧会(特別展「仏像一木にこめられた祈り」東京国立博物館平成18年10月3日〜12月3日)を開催し、それに合せて、研究代表者や研究分担者による論文や詳細な解説を盛り込んだカタログを作成した。入館者は335,489人、カタログの販売数は53,302部に及んだ。また、新聞等の展覧会関連論評としても多く取り上げられた。なお、同展に出品された一木彫像について調査を実施し、これまで樹種分析を行っていない彫像については可能な限り所蔵者の了解を得て微小木片を採取した。その他、三重・見得寺の薬師如来坐像、岡山・明王寺の観音菩薩立像など、関連作品調査を実施した。 上記展覧会のカタログにはこれまでの研究成果が集成されているため、カタログの内容を主体として研究報告書を作成した。
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Research Products
(4 results)