2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15320035
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
御子柴 道夫 千葉大学, 言語教育センター, 教授 (10219610)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長縄 光夫 横浜国立大学, 教育人間学部, 教授 (60068757)
松原 広志 龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (70131315)
白倉 克文 東京芸術大学, 芸術学部, 教授 (40308367)
清水 昭雄 志学館大学, 人間関係学部, 教授 (60248648)
大矢 温 札幌大学, 外国語学部, 教授 (20275465)
|
Keywords | ロシア思想 / グローバリズム / ナショナリズム / 近代化 / 多面性 / インテリゲンツィア |
Research Abstract |
18世紀後半から19世紀前半までのロシア思想史を、従来の社会思想史、政治思想史に偏る研究視点から脱し、それらを踏まえたうえで、狭義の哲学思想、宗教思想、文学思想、芸術思想の多岐にわたる面で多面的に研究してきた。その結果、従来わが国ではもっぱら思想家としてしか扱われてこなかったレオンチェフの小説にスポット・ライトが当てられ、逆に小説家としてしか論じてこられなかったプラトーノフやチェーホフが思想面からアプローチされた。またロシア正教会内の一事件としてわが国ではほとんど手つかずだった賛名派の騒動が思想ないし哲学面から解釈された。さらに象徴派の画家やアヴァンギャルド画家が哲学あるいは社会思想史の視点からの考察の対象となった。と同時に、これらの作業の結果、ロシアでは文学、芸術、宗教儀礼、あるいは社会的事件さえもが思想と有機的に密接に結びついているのではないかとの以前からの感触が具体的に実証されることとなった。 また、文化のあらゆる領域を思想の問題としてとらえた結果、当該時期のロシア思想史をほとんど遺漏なく網羅することが可能になった。この基本作業をふまえて、いくつかのテーマ-近代化の問題、ナショナリズムとグローバリズムないしユニヴァーサリズムの問題、認識論や存在論の問題などが浮上してきた。分担者、協力者各自の研究の中で当然それらのテーマは咀嚼され発展させられてきたが、今後はこれらのテーマを核に、この4年間で蓄積された膨大な素材を通史的に整理し止揚する作業を継続してゆき、書籍として刊行して世に問うことを目指す。
|
Research Products
(2 results)