2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15320060
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大門 正幸 中部大学, 人文学部, 助教授 (70213642)
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Keywords | 古英語 / 行間注釈 / 語順 / 基底語順 / 生成文法 / 助動詞 / 非定形語順 / Lindisfarne Gospels |
Research Abstract |
昨年度の研究で得られた、Lindisfarne Gospelsにおける発見((a)節や助動詞の種類に関わらず「助動詞-非定型動詞」語順、「非定型動詞-助動詞」語順のいずれも頻出するので、どちらの語順も自然な語順であると認めざるをえない、(b)助動詞の種類、すなわち助動詞がBE動詞か法動詞かによってそれぞれの語順の頻度が大きく違う、(c)主語の有無が、特に助動詞がBE動詞の場合、語順に大きな影響を与えているように見える)について、日本英語学会で研究発表を行った。 現時点では、Lindisfarne Gospelsにおける上記の特徴はバイキングのイギリス侵略による北欧語の影響ではないかと考えているが、この点についてより詳細に検討するために、今年度はさらに北部方言以外の行間注解の分析を進めた。分析の対象としたのは、Lindisfarne Gospelsと同内容でマーシア方言で書かれた『ラッシュワース福音書』(「マタイ伝」のみ。その他の3福音書はLindisfarne Gospelsとほとんど同じであるため)およびマーシア方言で書かれたVespasian Psalterとウエスト・サクソン方言で書かれたRegius Psalterである。現在はまだ分析途中であるが、これまでのところ、いずれの作品においてもLindisfarne Gospelsに頻出するような「非定形動詞-助動詞」語順はほとんど見られない。したがって、当該の語順の頻出は北部方言特有のものである可能性が高くなったと考えられる。 このように分析対象を広げると同時に、分析の一番の基礎となるLindisfarne Gospelsにおける証拠の確実性を高めるために、試料を逐一写本で再び確認しているところである。
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